会は、西川誠司団長の開会宣言で幕を開け、「吉野一生基金」の報告、イギリスから来日したRick Beech氏の挨拶と続いた。Beech氏は「吉野一生基金」の第1回記念招待者であり、「以前からあこがれていた日本に、しかも吉野氏の名を冠する基金によって招待されたことは光栄で幸せである」と語った。
さらにプログラムは、岡村昌夫氏による「秘傳千羽鶴折形」(ひでんせんばづるおりかた:おりがたではない)に関する講演へと進んだ。今年1997年は、同書が出版されて200年の記念の年である。200年と言えば、21年に1回しか優勝しない阪神タイガースが9回も優勝してしまう長い年月だ。岡村氏は、自身200歳を越えているのではないかという詳しさで「千羽鶴折形」(おりがたではない)の魅力を語った。
2時過ぎからは、この会の中心である折り紙教室が始まった。7つに分かれた教室は、どれも順調だったようだ。とりわけ、Rick Beech氏の教室は、通訳の羽鳥公士郎君とのやりとりに、ほとんど漫才のような楽しさがあったという。
会では7時過ぎから、(本紙特派員でもある)前川淳の司会・出題によるクイズ大会が行われた。「千羽鶴折形(おりがたではない)と同年に生まれたひとは?」(答えはシューベルト)などの予選問題(択一式)を勝ち抜き、決勝戦に残ったのは、岡村、木下(剛)、宮島、渡部、新本、加藤、川上の7氏であった。決勝戦では、高校1年生の木下君が、第1問を誤答したものの、若さ溢れる追い込みを見せ、みごと豪華優勝カップと副賞を手にした。岡村氏、宮島氏も頑張ったが及ばなかった。「若くして栄光をつかむと、教育上良くない」という、教育者らしい、あるいは、自分のチャンピオン予想がはずれて景品を取り損ねた難癖のような川崎敏和氏の意見もあったが、「折紙探偵団・懇親会クイズ王」は何の権威もない賞なので、心配はないだろう。木下君は、今後も「便器」や「ダイオウイカとマッコウクジラの戦い」のような、妙な作品をつくり続けていって欲しい。
なお、懇親会には、ビッグネームが顔を出してくれた。宇宙技術のミウラ折りで知られる三浦公亮氏である。部屋の一角では、三浦氏と並んでポラロイドで記念写真を撮り、それを売るというアコギなショーバイも行われていた。(とは言っても売り上げは吉野基金にプールされる)