1997年 コンベンション 第2日
コンベンションの2日目の朝、筆者(前川)は午前8時45分に、会場の東洋大学に到着した。プログラムによる受け付け開始は9時30分、大学の施設が開くのも9時のはずである。スタッフとしてこの時間に着けばまったく問題ないだろう、てなもんである。また、この日の朝に配布した「折紙探偵団新聞号外」の作成が深夜に及んだため、わたしとしては、目いっぱいに早い時刻であった。が、甘かった。教室受け付け会場である1204教室に入って「おはようございます」と言おうとして、開いた口をふさぐのに苦労した。既に4・50人のひとが集まっているではないか。呆れたね。折り紙に対する熱ゆえか、冷房が効いているはずの部屋も心なしか暑い。
早く到着したひとたちの多くが遠方からの参加者で、近くの修学旅行旅館に泊まっていたと聞いてすこし納得したが、それにしても熱い。ぶり返した残暑の責任の一端はこのひとたちにあったのかもしれない。
この旅館の様子がまた百鬼夜行だったようだ。まず、旅館にたどり着くまでに、床下浸水を出したほどの豪雨のなか、「文京区文学散歩」をしたのだそうである。実際は単に道に迷っただけらしいのだが、若くして亡くなった吉野さんにゆかりの深い今回の会で、同じく若くして逝った啄木や一葉のゆかりの地で道に迷ったのは、縁を感じなくもない。
旅館にたどり着くと、早く着いて身支度(?)を済ませたのか、玄関にはパンツ一丁の木下一郎さんがいたというから驚く。雨水がたまり溶解したサンドイッチを手にして、宿のひとに「スリッパを履いてください」とたしなめられての、靴下までびしょ濡れの一行の到着だった。その後も、同宿している運動部の選手達(小学生)に「うるさいので静かにしてください」と言われるなどして、夜は更けていった(というより、朝が白々と明けていった)。
さて、コンベンションの2日目、筆者は、川崎敏和さんの「折り紙の幾何学」と、和久敦也さんの「手品」を受講し、「ティーバッグのトナカイ」の講習をおこなった。川崎さんの講義は、毎年のことながら最先端の折り紙研究を分かり易く解説し、実に興味深いものだった。また、和久氏の「手品」は、本人も言っていたように、1年目「折り紙の手品」、2年目「紙の手品」、3年目「手品」と、年を追って折り紙との関係が薄くなってくる講習タイトルであったが、今回もちゃんと紙を使ったネタで、受講者もみな大満足だった。筆者のこの日の講習は、有り難いことになかなかの人気で、早いうちに定員が埋まり、講習もなんとか時間内にすませることができた。講習中に、(わたしとしては)力をいれて描いた図に間違いを発見してしまったことはショックだったが、これも、日頃手抜きの図を描いているむくいであろう。
講習後のオークションで、最も高い値を出したのは、えーと、そのう、・・・要するに、わたしであった。折り鶴モノを持ってくれば何でも買うと足下を見られているとしか思えない。
かくして、今年も盛大な拍手で「折紙探偵団コンベンション」は幕を閉じた。来年もみんなで盛り上げたい。
なお、アンケートの結果、会計報告などは、また別の機会に報告する。
Maekawa