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表紙の絵について

表紙を飾る絵は、吉野一生さんの手によるもので、折り紙の世界的な広がりを象徴しています。たいへん優れたデザインですが、この絵にはひとつのトリックがあります。厳密に言うと地球儀の緯線と経線で区切られた部分では鶴を折ることはできないということです。これは、単にそれが曲面であるからではありません。この点について、川崎敏和さんによる、次のような指摘を記しておきます。
「球面上の四辺形(四つの大円弧で囲まれた図形)においても、向かい合った辺の長さの和が等しい場合、(球面にぴったり貼りつくような)鶴の基本形を折ることができる。球面上で四辺形を切り出すことは、その外側にもう一つの四辺形を切り出すことでもあり、むろん、そちらでも鶴の基本形を折ることができる。」
背景模様:前川淳