たてがみ折り



解 説
ある技法が考え出される。それが応用され、新しい作品が生まれる。 その典型的なケースとして「たてがみ折り」を見てみよう。
折り紙の造形において最も難しいのは曲線を表現することである。吉野一生氏が「馬」で用いた「円弧のたてがみ」は、そうした課題に対するひとつの見事な答えであった。この技法の特徴は、一見技巧的でありながら、その背景に幾何学的な明快さを持っているところにある。基本が明快な造形は応用が可能である。実際、それを見た川畑文昭氏が、その技法を使って「ディメトロドン」や「エダフォサウルス」を創作した。


馬(吉野一生)とエダフォサウルス(川畑文昭)
(中間の画像は合成したもので作品は存在しません)

作品名
作者 吉野一生 図:一生スーパーコンプレックスおりがみ(おりがみはうす刊)、
をる14号、折紙探偵団新聞24,25号
技法 不切正方形1枚
制作年 1990

作品名 ディメトロドン
作者 川畑文昭 図:空想折り紙(おりがみはうす刊)
、おりがみ(日本折紙協会) 163号(要調査)
技法 不切正方形1枚
制作年 1991

その後、この技法は、スピノサウルス、ペガサスと応用されていくことになる。

「たてがみ折り」の背景に幾何学的な明快さがあると述べたが、次の作品を見ていただきたい。東秀明氏の一連の螺旋折り作品の一例である。これは純粋に幾何学的な作品だが、この作品と「たてがみ折り」が親戚関係にあるのがわかるだろう。

作品名 螺旋折り
作者 東秀明 図:なし
技法 不切のテープ1枚
制作年 1993


MAEKAWA