おりすじ

「カミに祈る私」 山梨明子


 物心ついた頃から折り紙が大好きで、自分で本を見ながらよく折っていました。途中とぎれがちになりながらも、20歳を過ぎても時々本を買ったりして折り続けて来ました。
 6年程前、ふとしたきっかけで、折紙協会に入会しました。それが転機でした。「おりがみ」に刺激され創作をするようになりました。またシンポジウムに参加して初めて趣味を同じくする仲間と出会いました。やっと、自分のやりたいことが見つかった、という気がしました。
 それまでの私というのは、幼い3人の子を抱えて、育児ノイローゼ寸前だったのです。育児と家事だけでは、毎日が面白くなくて、ちっ息しそうだったのです。折り紙を再開して、やっと息がつけるようになったのでした。
 どんな趣味でもそうだと思いますが、仲間に巡り会えるかどうかで、楽しさが全然違って来るものです。長いこと一人で折ってきて、いきなり沢山の折り紙の友人知人を得られたことは、大きな喜びでした。
 また、折り紙は、年令も性別も職業も、実に幅広い様々な人がやっていますし、広く海外にまで人の輪ができています。折り紙を始めてから目の前の世界がどんどん開けてくるような、すばらしい思いがしました。
 現在私は5人の子持ちになってしまいましたが、楽しんで育児をしています。そうしたゆとりがあるのも折り紙のおかげだと思っています。
 折り紙に救われた私にとっては、折りガミ=カミ様なのかもしれません。今日もせっせと、カミに祈る(カミを折る)、私なのです。  

A.YAMANASHI 1993 06/05