おりすじ

「獅子の翼、鷲の牙」 木村良寿


 さて、その後私は2年に一度の世界折紙展と毎年夏のシンポジウムでのみ折り紙を折る輩になり果てていた。それがこの世界に舞い戻る羽目になったのは89年の秋。その年にオープンして半年の「おりがみ はうす」で西川誠司、吉野一生と共に「恐竜おりがみ三人展」を行ったのである。
 その際に名乗ったのが「Origami Team PAPYROSAURIA」(オリガミチーム パピロサウリア)。パピロサウリアは学名風の造語で和訳は「紙竜目」になる。実は少々ありがち気味な「折紙探偵団」よりこの名前の方が気に入っているんですがねえ。
 それから度々「おりがみ はうす」で集まりを持つことが重なり、いっそのこと会を作って同人誌まで出してしまおう、となったわけである。
 ここで少し私個人の考えを表しておこう。
 折紙探偵団設立の趣旨とはなんであるか?
 そんなものはない。
 元々、自然発生的に成り行きで出来ただけのものである。○□の為に・・・と言った意図は、私自身としては毛頭ない。まあ出来ちゃったもんはしょうがない。何か使い道はないものだろうか。
 探偵団の使い道のひとつはオリガミアン(を中心とした人々)の交流の場とすることである。
 実は探偵団とは折り紙界のグループとしてはかなり特異な存在である。
 一人または数人の先生を中心として折り方の講習や作品の製作を行う、といった一般的なサークルと探偵団とでは、カラオケ教室とアマチュアバンドくらい違う。
 それでは他の使い道は?
 それは団員たちの個性を発揮できる場をつくることではないだろうか。
 別に創作折り紙の発表のみではない。論文でも随筆でもマンガでも何でもいい。極端なことを言えば、直接折り紙に関係ない事柄でもいい。いずれはそういった物も扱っていくつもりでいる。まあためしに定例会に来てごらんなさい。我々は「来る者は拒まず、去る者はちょっとは追う」ですから。

KIMURA 1991 8/5