おりすじ

「特技から趣味へ」 宮島登


 幼稚園の時にごく普通のきっかけで始め、それ以来、さしたるブランクもなしに続けてきたにも関わらず、長いこと私は折り紙を「趣味」ではなく「特技」であるとしてきた。
羞恥心から「趣味は折り紙」と言うことができず、対外的には、半ば自嘲的に、折り紙を「奇特な技=特技」としてきたのである。
 しかし、探偵団に入って同類の人間が多く存在することを知ったこと、バイト先で折り紙を折りまくった際、周りの人に大変好評で、折り紙が結構人に喜んでもらえるということがわかったことなどから、今では、(多少恥ずかしく思いながらも)「趣味は折り紙」と広言できるようになった。実にめでたい。
 趣味と言えば、音楽鑑賞もその一つだ(ここからが本題)。その対象はひたすらロック(洋楽)なのだが、せっかくなので、この機会に「ロックと折り紙」について書いてみたい。一見、百万光年はかけ離れているもののように感じられるが、実は両者は深ーい関係にある、と言いたいところだが、やはり両者の関係は希薄であると言わざるをえない。それでも私が執念で見つけた数少ないサンプルを紹介したい。
 まずは、イギリスの90年代型エレポップバンド、PULP。EP「Sorted For E's & Wizz 」のジャケットでは、ドラッグを入れて隠すためのサイフ状の袋の折り方が11工程にわたって描かれている。また、同じくイギリスの元祖ネオアコバンド、AZTEC CAMERAの2ndアルバム「Knife 」のジャケットには、しわくちゃになった紙のような物が描かれているが、これが実は折り紙。その証拠に、本作からシングルカットされた「Still On Fire 」のビデオクリップではジャケットのイラストがアニメーションで再現されており、川面に浮かんだ伝承のモーターボートが正方形の用紙に戻っていく様子が鮮やかに描かれている。
これだけである・・・。

MIYAJIMA 1996 4/25