おりすじ

「もっと時間を!」 中西健一


 段ボールの箱にいっぱい折り紙を折り溜めていた私は中学に上がるころ、世間に何となくある折り紙を続けることに対する逆風(笑)と、パーコン(当時はパソコンのことをこう言った)の魅力とに抗し切れず、旅先で折る以外はほとんど離れてしまっていました。
 ただ、その当時から『格好いいカマキリを折りたい』という気持ちはあって、2枚折りのカマキリは時折試作していました。
 昨秋、ニュージーランドに旅行をしたとき、たまたま入った本屋さんで、カマキリの折り紙が表紙に載った本を見付け、それが長方形ながら1枚折りであることにショックを受け、旅先の乏しいキャッシュの中から大枚(?)を叩いて買い込んだのがR.Langさん、S.Weissさんの"Origami Zoo"でした。
 以来、一葉不裁(不切1枚折りのことを私は勝手にこう読んでいました)の正方形によるカマキリを遠大なる目標に創作を再開しました。それから半年一人で取り組んできたのですが、15年のブランクは大きく、創作は思うように進まないまま、それでも簡単なものをちょくちょく折りながら来ました。
 今年の4月、某雑誌で吉野一生さんの記事を読み、おりがみはうすの存在を知り、尋ねていったのが探偵団との出会いです。
 実際に創作活動に関わっている方々とお会いしてお話をしたり、作品を見せていただいたりするのは非常に励みになります。件のカマキリも、技を教えていただいたわけでもないのに皆さんのご批評に晒されながら、どうにかこうにかそれなりになってきたようです。折紙探偵団は、お互いがお互いの作品を育てていける場なんですね。
 もっと早くここを知っていればと悔しいこと甚だしいのですが、今や少なくなってしまった余暇から時間を見付けて創作も続けていきたいと思っています。
 これからも、折り紙に限らず形の綺麗なものを創ったり見たりしていけたらいいなぁと思っていますので、よろしくお願いします。

NAKANISHI 1993 12/5