おりすじ

「続・折り紙に出会ったこと」 西川誠司


 河合先生の本で創作折り紙とであった私は、お面の創作をかなり意識するようになっていた。(河合先生がお面を大きなテーマとして創作されていることは有名)とは言っても16、7の若造が仏像の面を創ったとして何の重みもない。(奈良で生まれ育ったとしてもね。)自分らしいお面を何となく捜していた。ちょうどそんな頃、アニメーションの情報誌に折り紙で折ったアニメや特撮のキャラクターが特集されたのを友人が教えてくれた。その写真を見たときの衝撃は相当なものだった。その作者は、だれであろう折紙探偵団団長の木村良寿氏である。

 折り紙も絵や彫刻のような表現手段としての一面をもつ。実際それまでの私が創作していた作品は虫や恐竜であった。そしてそれは、紛れもなく自分の大好きなもの達だ・・・大好きなものには自分なりの色々な想いがある。だから自分のテーマになり、自分なりの表現に夢中になった。怪獣や、アニメーションのキャラクターは、まさに自分なりのお面の宝庫と言えるのだ。面について心に引っ掛かっていたものは、自分の好きなものしか本当には表現できないということではなかったのか。

 そんな想いが一瞬はじけた。そしてそれを判らせてくれたのは、「一枚で、切り込み無し」ではなく、木村作品の「かっこよさ」なのであった。それから暫くは、怪獣やキャラクターというテーマに次々にチャレンジした。

 この木村作品との出会いから、日本折紙協会を知ることとなり、日本のそして海外の折り紙愛好家との多くの出会いがあって、私にとって折り紙が無くてはならないものになってしまったのである。


NISHIKAWA 1991 12/5