おりすじ
「仮面世界(マスクワールド)のとりこ」 西村 修
小さなころの私は、そんなに折り紙ばかりしていた子供ではなく、母が買い与えてくれた本(いわゆる古典作品)をひととおり折れる位のものでした。それを再びこの道に引き込んでくれたのが中一の時に買った河合豊彰氏の「おりがみ」でした。今までにない作風の動物達や仮面の魅力にひかれ、様々な本を買い集め自分の腕を試すかのように折りまくりました。暫くして、京都の某デパートで催された世界折り紙展で(注1)キングギドラを見たときの衝撃ったらなかった。世の中には凄い人がいるなぁーと。
その会場で月刊おりがみという本がある事も知りましたがその頃は本までお金が回らず、一緒に行った友人に毎月見せてもらっていました。ある日、友人が自分の創作した作品が載ったと本を持ってきたのです。友人の作品は飛行機でしたが、それに刺激され、よーし俺もと初めて創作したのがハカイダー(注2)の面でした。
しかし、自信満々で投稿した作品は本には載らず、月刊おりがみまでが書店から姿を消し、別々の高校へ行った友人とも音信不通となり、暫くの間折り紙はやめていました。
ところが折り紙の方で私を離そうとしません。アニメック・宇宙船・ファンロード・ゲイブンシャ等の折り紙たちが、第一次アニメ、第一次ウルトラ、第一次ライダー世代の洗礼を受けてきた私を折り紙時空へと引きずりこんだのです。
以来自分が折る作品は、もっぱらアニメ特撮物となり、なぜか仮面が多いのは、最初に創作したハカイダーとあの般若の表紙の本にインパクトを受けたせいもあるのでしょうか。
この世にTVがあるかぎり、いやこの世に特撮物があるかぎり、まだまだ折り紙は私を解き放ってくれそうにありません。
編集部より
(注1)1976年、丸物百貨店で開催された日本折紙協会主催の第一回世界折紙展
(注2)「人造人間キカイダー」の敵役
NISHIMURA 1993 10/5