おりすじ
「おりがみ山」 山口真
おりがみ山・・・なんと響きの良い名だろう。おりがみ好きにとっては、いちど耳にしたら忘れられない名でもある。
おりがみ山という名を初めて耳にしたのは、中野獨王亭さんの「青森におりがみ山という山があるそうだ」という話からだった。以後、折につけ、思い出す名となったが、訪ねる機会はなかなか訪れなかった。
8年前、私は成り行きで結婚をした。式も挙げない結婚だが新婚旅行にはいった。そして当然のごとくおりがみ山行きとなった。青森県の5万分の1の地図を入手、青森市と上北郡の境に位置しているのを見つけ、みちのく有料道路を目標に向かった。3日目、みちのく有料道路でおりがみ橋を見つけた。感激! 下を流れているのは・・・そう、おりがみ川であった。この奥がおりがみ山である。沢ずたいにジープで入っていく。ジープも入れなくなるところまで行ったが、周りは山だらけ、どれがおりがみ山か判らない。地形図を見ておりがみ山を捜す。上北鉱山と人家の印が地形図にある。路を変え、上北鉱山に向かった。ひどい路であったが、やっと上北鉱山に着いた。なーんもネー、(信号もカラオケもネー)すでに廃鉱になっていたのだ。
しかたなく周りの山を写真に撮って(帰ってからこれがおりがみ山だと言うつもりだったのか)帰ろうと思ったとき、人の声が聞こえた。近くの村から廃鉱から出る汚水の中和作業に来ているおじさんが二人。ジッチャンおりがみ山ってどこサ?(なぜか東北弁になっている) 老人の指さす方を見て、私には輝いて見える山がそこにあった。
次に来るときには頂上まで登ろうと、心に誓ったのだが、あれから8年、2度目はまだこない。
YAMAGUCHI 1990 8/9