第4回折り紙の科学・数学・教育 研究集会



プログラム
10:00-10:30 折り紙に関する投稿論文集の企画について
10:40-11:10 複数の箱を作ることのできる展開図の研究  上原隆平(北陸先端科学技術大学院大学 情報工学)
概要:Biedlらは、1つの展開図から1x1x5と1x2x3という2つの異なるサイズの直方体が作れることを示した。これは単位正方形を22枚つないだ展開図である。彼女らは同様に34枚の単位正方形からなる1x1x8と1x2x5の直方体を作れる展開図も示した。本発表では、単純なプログラムを使って、こうした展開図を1500個あまり得た結果について紹介する。得られた展開図の中には、平面を埋めつくすタイリングや、こうした展開図が無限個あることを証明できるようなパターンも含まれていた。
11:20-11:50 折り鶴の美しい理由  川端敏裕
概要:統計力学のアナロジーを用いて、折り鶴の美の謎を説明したい。相転移が起こる臨界点ではベキ分布やフラクタル性というアート的構造が現れる。一方、1辺の長さを1に固定した菱形達に対してパラメータrをもつある操作を施すと、r=1/4 が臨界点になる。その時、実は菱形折り鶴達が現れる。したがって、折り鶴もフラクタル同様に、アート的構造や不変性をもち、それを利用して数学的な性質もいろいろ導き出せるのではないかということを考察する。
11:50-13:00 昼休み
13:00-13:30 折り紙の数理に関する提言  川崎敏和(阿南工業高等専門学校 数学)
概要:折り紙の数理では折紙作図はじめ様々な成果が得られている。しかしその数学的意味となると、「?」がつくもののも少なくない。本発表では、いくつかの研究成果の数学的価値を検証し、その問題点と数学的研究の方向性を提示していく。
13:40-14:10 コイル折り:折り紙で提灯をデザインする  布施知子
概要:筒状のものをねじってコイル状に平らに折り畳む方法を示す。折り紙のデザインとしてランプシェードに取り組んだことがある。日本の住宅事情を考えると、かさばることが難点のひとつに思え、折り畳んで平らにできるものを考えた。先日NHKサイエンスZEROで京都大学の野島武敏氏の研究を見て、ほとんどかぶっていることを知った。しかし、折り紙に浸きっている者からの発想として発信しておきたい。
14:20-14:40 ステントグラフトの折り方への提案  布施知子
概要:栗林香織氏が研究されているステントグラフトのデザインについて、いくつかの折り方の提案をしたい。
14:50-15:20 三次元折り紙の変形アニメーションの生成とレンダリング手法 古田陽介(筑波大学大学院 情報工学)
概要:折紙を一工程ずつ折り進めていく様子を表現する三次元3DCGアニメーションを、 物理シミュレーションとキーフレーム補間法を併用して生成する手法を提案する。また、折紙の立体形状をスクリーンに描画する際に面の重なり順情報を参照することで、紙の突き抜けの無いレンダリング結果を得る手法について提案する。
15:30-16:00 折り紙に関する投稿論文集の企画について(つづき)。今後の会の進め方など。


日本折紙学会(JOAS:webman@origami.gr.jp) (担当:前川)