第13回JOAS創作折り紙コンテスト結果発表

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過去のコンテスト


コンテストの概要はこちらをご覧ください(第25回コンベンション特設ページ内)。

受賞者

第25回折紙探偵団コンベンション参加者、JOAS評議員による投票(JOAS賞2部門)と、おりがみはうす代表山口真氏による審査(はうす賞)の結果、以下のように決定しました。(敬称略)

JOAS賞 特別テーマ部門:「妖怪」

作品写真
「姦姦蛇螺 / KAN-KAN-DA-RA」北西 一貴

JOAS賞 干支部門:「ねずみ」

作品写真
「キャラバン(ジャコウネズミの親子) 」萩原 元

おりがみはうす賞(テーマ無し)

該当作無し

受賞者には、記念の楯と副賞「第31期(2020年度)日本折紙学会会員権」が贈られます。おめでとうございます。

JOAS賞エントリー作品と投票結果

投票方法

コンベンション参加者は1人1ポイント。JOAS評議員(今回投票者8名)は1人最大10ポイント(配分可)を投票できます。

JOAS賞 特別テーマ部門「妖怪」エントリー10作品

3位までポイントを掲載しています。
作品写真
  • タイトル:「火車」
  • 作者:小林 勇太 / Kobayashi Yuta
  • 獲得:47ポイント(一般33/評議員14)(2位)

用紙・技法の説明「火車 90cm×90cm 不切正方形一枚折り インサイドアウト 獄卒 60cm×60cm 不切正方形一枚折り インサイドアウト」

作品の説明 「死んだ人の亡骸を奪うとされる日本の妖怪です。/佐脇嵩之の『百怪図巻』を参考に創作。非常に質の悪い妖怪ですが、正体は猫(又)らしいです。全然可愛くないです。」

作品写真
  • タイトル:「吸血鬼」
  • 作者:青江 俊成 / Aoe Shunsei

用紙・技法の説明「紙を折ることより、金紙を用い、曲げて立体感を出すことに留意しました。」

作品の説明 「小学校1年生の時から通学中、毎日電車内で創作していました。/ 小学生最初で最後の挑戦です。」

作品写真
  • タイトル:「さらやしき其の弐」
  • 作者:西村 修 / Nishimura Osamu

作品の説明 「一度創っていますが、その時は正方形用紙を2つに折り段差を付けた簡単なものです。 今回は魚の基本形から折っています。髪の毛、井戸、皿、吹き出した妖気はそれぞれ正方形用紙から折り出しています。」

作品写真
  • タイトル:「Nekomata 猫又」
  • 作者:Lo Sheung Chi(香港)

作品の説明 「Nekomata is one of the hit creature in 'Yokai' topic through my mind.(the previous successful model was done by 柏村卓朗). I want a popular image of black felis catus which can be seen all around with elements that make it seems something supernatural. The green color reversed inside-out for the eye inspiring me to fold the tail as 'Rin-ka磷火'」

作品写真
  • タイトル:「鳴釜」
  • 作者:尾川 知 / Ogawa Tomo

用紙・技法の説明 「不切正方形一枚。使用した紙のサイズは約46cm四方。/和紙2枚のあいだにアルミホイルをはさんだもの。」

作品の説明 「鳥山石燕『百器徒然袋』で描かれている妖怪です。/古来かまどおよび釜は神聖なものとされており、「鳴釜」とは、釜から発する音で吉凶を占う神事の呼び名でもあります。石燕はこの神事をふまえ、先行する絵巻物に描かれている釜のお化けを参照しながらこの妖怪を描いたのかもしれません。その仕種はなにかを祈っているようにもみえます。」

作品写真
  • タイトル:「酒呑童子」
  • 作者:関根 武 / Sekine Takeshi

用紙・技法の説明 「不切正方形1枚 62cm四方 レザック82ろうけつ+tカラペ」

作品の説明 「大江山に潜む酒豪の鬼。鬼になる前の「外道丸」と呼ばれる少年期は恋文を沢山貰うほどの美形だったという伝説を基に、厳つさを抑えたデザインにしました。」

作品写真
  • タイトル:「鎌鼬」
  • 作者:亀井浩平 / Kamei Kohei
  • 獲得:43ポイント(一般34/評議員9)(3位)

用紙・技法の説明 「不切正方形一枚折作品。60センチ四方の玉虫紙使用。蛙の基本形に帯領域を加えた形を基本形とし、頂点カド3つから本体を、残りの部分で「つむじ風」を表現した造形を施しました。」

作品の説明 「三位一体の妖怪「鎌鼬(かまいたち)」を作りました。つむじ風とともに現れ、一体目が人を転ばせ、二体目が切りつけ、三体目が薬を塗って去っていくため傷口は血も痛みもなくすぐ治ると言われています。アフターケアも充実の憎いやつです。顔の造形は「イイズナ」などをモデルにしかわいらしい感じに、また個人的に妖怪といえば「妖怪根付シリーズ」なので根付をイメージして全体を丸くまとまるように仕上げました。」

作品写真
  • タイトル:「九尾の狐」
  • 作者:藤木萌人 / Fujiki Moeto

用紙・技法の説明 「模様入り和紙 二枚複合35×35cm(頭~後脚)、60×60cm(尾)」

作品の説明 「三位一体の妖怪「日本では多くの年を経て尾が9つに分かれた狐、中国では漢王室の守り神など、世界各地の神話に登場する狐の妖怪。製作にあたって、①生き生きとした9つの尾、②見た目の妖怪らしさ、という2点を意識しました。そこで尾には一枚の紙を丸々使い、体形は首、胴体を長めに設計しました。」

作品写真
  • タイトル:「姦姦蛇螺 / KAN-KAN-DA-RA」
  • 作者:北西 一貴 / Kitanishi Kazuki
  • 獲得:108ポイント(一般87/評議員21)(1位)

用紙・技法の説明 「正方形不切一枚折り」

作品の説明 「姦姦唾螺、生離蛇螺、生離唾螺とも呼ばれる。上半身は人間、下半身は化け蛇、両腕に3本ずつ、計6本の腕がある巫女の妖怪。昔、化け蛇の被害から村を救うために立ち向かった巫女が、村人に裏切られ、化け蛇への生贄とされてしまった。姦姦蛇螺とは、その巫女の怨念が異形化した姿と言われている。」

作品写真
  • タイトル:「玉藻前 ~正体見たり~」
  • 作者:萩原 元 / Hagiwara Gen

用紙・技法の説明 「折り紙部分は計7枚の正方形と長方形で構成。切り込み無し。糊付け有り。/玉藻前:3枚複合(頭:10×10cm 雁皮+女肌裏漂白紙、体:25×25cm 女肌裏漂白紙+友禅紙、尾:25×25cm 雲龍紙)、屏風:15×25cm 包装紙、畳:20×20cm 越中染紙+友禅紙、照魔鏡:25×25cm 柿渋染紙+円形にカットした鏡面シート、鏡立て:15×15cm 越中染紙 台座:ござ」

作品の説明 「三位一体の妖怪「平安時代にいたとされる美女に化けた九尾の狐の妖「玉藻前(たまものまえ)」をジオラマで表現しました。正面から見るとただの着物を着た女性だが裏側から見ると狐の尾がある、という二面性のコンセプトはさほど難なく達成できたのですが、一目では何なのか判り辛い作品になってしまいました。(題材的にはそれで良いのかもしれませんが、コンテスト作品としてはイマイチ)/その解決のための一案として後ろに鏡を置いて眺めていると、鏡を妖魔の正体を見破る照魔鏡とすることで鏡を置くことに意味を持たせるというアイデアが浮かび展示作品の形に落ち着きました。」

殿堂入り”創作家による参考作品(投票対象外)
作品写真
  • タイトル:「ねこまたボブテイル」
  • 作者:豊村 高志 / Toyomura Takashi

用紙・技法の説明 「54.5cm×54.5cm」

作品の説明 「普通のネコを作ってから妖怪に変化させたので、紙の先端を折り込んだ分、尾が短くなりました。/というわけで、“ボブテイル”です。」

JOAS賞 干支部門「ねずみ」エントリー10作品

3位までポイントを掲載しています。
作品写真
  • タイトル:「小ねずみ」
  • 作者:春日 凛 / Kasuga Rin

作品の説明 「15cmx15cmの折り紙を使用しました。/耳の膨らみ具合を重点的に考え、リアルに再現しました。しっぽの部分を丸くして、可愛らしさを出しました。/しっぽの部分の丸みを出す事が一番難しかったです。」

作品写真
  • タイトル:「世界一有名なはつかねづみ君」
  • 作者:西村 修 / Nishimura Osamu

作品の説明 「例会で相談した結果キャラクター使用許可は難しいだろうということでこの題にしました。耳と頭部は正方形から、顔は鶴の基本形からの変形で折っています。」

作品写真
  • タイトル:「チーズハンターズ」
  • 作者:関根 武 / Sekine Takeshi
  • 獲得:48ポイント(一般37/評議員11)(2位)

用紙・技法の説明 「不切正方形1枚×3」

作品の説明 「普段、身近ではありながら我々の目につかないところに、彼らはしれっと潜んでいる。全ては豊かな食生活のために、数多の罠をくぐり抜け、最高級のお宝を目指す......。」

作品写真
  • タイトル:「ネズミ」
  • 作者:加藤 眸 / Kato Hitomi

用紙・技法の説明 「不切正方形1枚折り 20cm普通折り紙用紙の裏面に裏面色を印刷」

作品の説明 「眼と耳をインサイドアウトで表現しています。尾は3つのカドのうち2つをつなげて輪の形にし、実際よりも長く見せるようにしました。」

作品写真
  • タイトル:「鼠」
  • 作者:齊藤 壮史 / Saito Takefumi

用紙・技法の説明 「不切正方1枚折り、縦横48等分/79×79cm」

作品の説明 「この作品は、豊村高志さんの「20」や、南島和英さんの「「馬」(蛇腹レリーフによる)」などの作品を参考にさせていただきました。また、額縁については、指定のサイズに収めるためオシャレに仕上げるために作りました。縦横のヒダは、丈夫にするために、交互に組みました。」

作品写真
  • タイトル:「集合ー!」
  • 作者:田中 幹人 / Tanaka Mikito

用紙・技法の説明 「ネズミ・・・各正方形一枚折り、普通折り紙使用、魚の基本形を利用/笛吹き男・・・正方形一枚折り、楽譜柄の洋紙を使用、蛙の基本形を利用/笛・・・正方形一枚折り、金色ホイル紙使用、16等分蛇腹を利用/複雑さに拘らず、人と笛は別々の紙を使って表現した」

作品の説明 「ハーメルンの笛吹きをモチーフにしました。 ネズミ達が集まる様子を表現しました。/せっかくなので「子」の字に並んでもらいました。」

作品写真
  • タイトル:「鼠」
  • 作者:三谷 彰希 / Mitani Shoki
  • 獲得:41ポイント(一般30/評議員11)(3位)

用紙・技法の説明 「不切正方形1枚折り 20cm四方の揉み紙使用」

作品の説明 「さまざまな角度から鑑賞できる、立体的な作品を目指しました。」

作品写真
  • タイトル:「ねずみの嫁入り」
  • 作者:高橋 志典 / Takahashi Yukinori

用紙・技法の説明 「ねずみ…裏打ち紙(雲竜紙とロール紙)45センチ四方1枚。7等分から始まり、各部を22.5度系で構成し、頭部と袖を作るため2辺に蛇腹を付加。蛇腹で紙を厚くしたくなかったので、これを6マスで作ることに決め、最終的に17等分(7+1.5を2倍した数)にする。折り上げ後、眼と打掛に別紙で彩色を施す。/草花…和紙(民芸紙)1.5~7センチ四方数十枚。/ [花]4弁…四辺を22.5度角で座布団折りの様にして畳み、それをねじり折りして作成/ 5弁…5等分から作成。3つの角で5弁、残りの角で蕊(しべ)を表現。 6弁…6等分から作成。途中、水車のような形になる。8弁…4弁の花の折り変え。多重弁…4辺に仕込みした風船の基本形から作成。各々、蕊に別紙で彩色を施す。/ [草]過去の自作品あるいは作品にならなかったものを草に見えるように作り変えた。一部即興折りもある。全部で8種類。」

作品の説明 「結婚した子年生まれの妹を思って作りました。草花に関しては、書籍や日常の生活で目にする植物たちの様子を参考にして表現しました。」

作品写真
  • タイトル:「キャラバン(ジャコウネズミの親子)」
  • 作者:萩原 元 / Hagiwara Gen
  • 獲得:96ポイント(一般69/評議員27)(1位)

用紙・技法の説明 「30×30cmの正方形1つと15×15cmの正方形5つになるように切り込みを入れた45×45cmの正方形の用紙1枚を使用。和紙に黒のアクリル絵の具を混ぜたCMCを塗布して片面を着色。」

作品の説明 「本作のモデルのジャコウネズミには「キャラバン行動」と呼ばれる少し変わった習性があります。移動する際に親の尻尾の付け根に子どもが噛み付き、その子どもの尻尾の付け根に次の子どもが噛み付き、次の子どもが……といった感じで数珠繋ぎのようになるそうです。/本作は口と臀部にカドが来るように縛りをかけて個体を創作し、連鶴の要領で切り込みを入れた紙を一繋ぎのまま折ることでキャラバン行動を再現しています。各個体を別々に折って並べることで同じ見た目の展示を作ることは可能ですが、それぞれが噛み付き繋がることで一蓮托生となるこの動物の「切っても切れない関係」を表現するには連鶴のように折るのが相応しいと思い、切り込みの使用に踏み切りました。ところでジャコウネズミは名前にネズミと付いていますが実際にはげっ歯類ではなくモグラに近縁のトガリネズミ科の動物です。紛らわしい名前ですね。」

作品写真
  • タイトル:「七郎鼠 / Norway rat」
  • 作者:北西 一貴 / Kitanishi Kazuki

用紙・技法の説明 「正方形不切一枚折り」

作品の説明 「七郎鼠はドブネズミの俗称。スタンダードなネズミを目指して創作しました。」

おりがみはうす賞エントリー作品

審査方法

おりがみはうす代表の山口真氏が審査し該当作が選出されます。(テーマ無し)

おりがみはうす賞エントリー4作品

作品写真
  • タイトル:「ドラゴン」
  • 作者:青江 俊成 / Aoe Shunsei

用紙・技法の説明 「紙を折ることより、金紙を用い、曲げて立体感を出すことに留意しました。」

作品の説明 「小学校1年生の時から通学中、毎日電車内で創作していました。/小学生最初で最後の挑戦です。」

作品写真
  • タイトル:「フェネックス」
  • 作者:菊池 偉城 / Kikuchi Ibuki

用紙・技法の説明 「530×530mm金銀ロール使用」

作品の説明 「羽が本物に見えるように蛇腹折を広げて、中割折を繰り返した。とさかの形や爪の数を本物に見えるように試行錯誤した。」

作品写真
  • タイトル:「はさみ」
  • 作者:春日 凛 / Kasuga Rin

作品の説明 「15cmx15cmの両面折り紙を使用しました。この作品を作ろうと思ったきっかけは、蛇腹折りにありました。 昨年のコンベンションで多くの蛇腹折りの作品に圧倒されました。今回は蛇腹折りで作品を作ってみたいと思い、細く鋭いものを考えているうちにはさみが浮かんできました。銀色の折り紙を使用して、昔のはさみのようなレトロ感をだしました。」

作品写真
  • タイトル:「象の親子」
  • 作者:塗谷 遙香 / Nuriya Harika

用紙・技法の説明 「タント紙(親:29.7センチ×29.7センチ、子:12.2センチ×12.2センチ、不切正方一枚折り)」

作品の説明 「象の耳に折り目をつけないで自然な形になるように工夫しました。」

※各作品の作品説明・コメントについて、応募時に寄せられた文章をコンテスト事務局で一部改変・編集しているところがあります。