イベント
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第35回折り紙の科学・数学・教育研究集会(11/18,19)
11月18日 – 11月19日 JST
オンライン 勉強会・研究会
主催
日本折紙学会
- 日程
- 2023年11月18日(土)、11月19日(土)
- 会場、協力
- 東京大学駒場キャンパス
- 主催
- 日本折紙学会
協力:東京大学 舘研究室
本研究会は、科研費 基盤研究(S)「切り紙構造が誘起する折り紙構造の学理創出とデバイス実証」の支援を受けています。 - 申し込み
- 申し込みは11月1日午後から開始します。
プログラム
2023年11月18日(土)
◎特別講演(東京大学主催、言語:英語)
- 東京大学駒場キャンパス KOMCEE WEST, B1 レクチャーホール
- 13:00-14:00 Zhong You氏講演(東京大学主催、言語:英語)(別途、聴講の登録が必要です)
◎駒場博物館見学
- 集合場所は、あたらめて連絡します。
- 14:30-15:30 駒場博物館つながるかたち展03 見学
◎ワークショップ
16:00-16:30 | 折りの情報伝達を利用するダウンロード地図のミウラ折り変換 三浦公亮 国土地理院発行の5万分の一地形図(紙)の発行は終り、代わって地図データのダウンロードとなったが、「紙」に印刷された地図の特性(広い画面、認識性、記入、記録、折り畳みなど)が使えなくなったのは悲しい。そこで、ダウンロードした、例えばA3サイズの地図を、容易にミウラ折りに変換できるプリンタ用紙の開発を行った。折りには、神経系統におけるシナプス的情報伝達機能がある。さらに、ミウラ折りは1自由度の特性を持つ特徴がある。此れを利用すれば、その様なプリンタ用紙が開発できることを示した。 |
16:35-16:55 | 立体的な星型(大十二面体の一部)の折り紙押出成形 土井護 折り紙押出成形とは、平らな紙片から外縁部を平らに保ったまま内部に立体を折り出すことである。本ワークショップでは、あらかじめ折り線を筋入れ加工した紙片を用いて、立体的な星型の折り紙押出成型を体験する。完成したものは大十二面体の一部になる。ここでは以前発表した立体ガジェットとは別の、立体ねじり折りという手法が用いられている。立体ねじり折りについて詳しくはまた別の機会にお話ししたい。 |
17:00-17:30 | 白銀比双対タイリング折紙 安達瑛翔 第22、23、25回折り紙の科学・数学・教育研究集会において紹介された双対(両面)タイリング折紙から、白銀比双対タイリング折紙を紹介する。双対タイリング折紙は両面に厚紙を貼り付けることで軽量高剛性の板材となる折紙コアである。本折紙の折り目は底辺と高さの比が白銀比(大和比)の二等辺三角形格子に含まれ、比較的簡単に折ることができる。今回はA4紙から基準線を折り出す方法と、部分的な折り方を紹介する。 |
2023年11月19日(日)
◎口述発表
10:00 | 開会 |
10:05-10:25 | 平織りの展開図をベースとした可展な多面体の解析的な生成 山本陽平 三谷純 平坦折り可能な平織りの展開図は、その折りたたみの過程において、立体的な形状を経由する。一般に平織りの展開図は剛体可折でないため、その立体形状には紙の歪みが含まれている。本発表では、回転・鏡映対称性を有する元の平織り展開図を変形することで、歪みが含まれない可展な多面体を生成する手法を提案する。生成には、4価頂点周りの折り目に関する幾何制約から、変形後の立体形状を解析的に求めるアプローチを採用した。 |
10:25-10:40 | 斜方切頂立方八面体と正八角柱からなる平坦折り畳み可能な立体 有宗知寛 小林祐貴 奈良らは切頂八面体による空間充填立体から規則的に面を除去することで、平坦に折り畳み可能な立体を作成した。本研究では他の空間充填立体について、平坦に折り畳み可能な立体が作成可能か検証した。切頂八面体と空間充填の仕方において類似性を持つことがわかった、斜方切頂立方八面体と正八角柱からなる空間充填立体を対象とし、複数の面の除去パターンの中で、重なりのない展開図を作成可能な立体について発表する。 |
10:40-11:00 | Overlap-free な多面体の完全な分類 鎌田斗南 塩田拓海 上原隆平 多面体の表面を自由に切り開いて得られる一般展開図は、切り開き方によって周上に自己交差を持つ場合がある。本研究では、「全ての一般展開図が重なりを持たない」という性質を満たす多面体について考え、それがStamperと呼ばれる多面体クラスと一致することを示した。つまり、Stamperクラスに含まれる多面体は全ての展開図が重なりを持たず、含まれない多面体は重なりを持つように展開可能であることを示した。 |
11:00-11:05 | 休憩 |
11:05-11:25 | 頂点位置に対する制約を付与した最適化手法による対称性を有する可展多面体の生成 三谷純 多面体を構成する各頂点の座標を変数とし、内部頂点周りの角度の和が360度となる位置を最適化によって求めることで可展な多面体を生成できる。本研究では、初期三角形メッシュに対して反復計算による可展化を行うとともに、頂点の移動範囲や対称性などに関する制約を付与することで、審美性を有し、また工学分野への応用可能性も高い形状を生成できることを示す。また提案手法の課題についても述べる。 |
11:25-11:45 | シート単独の折から筋付きシートの折へー扇などの新しい折紙工学 萩原一郎 シート単独の従来の折紙工学に対し、明治大学数理科学インスティテュートでは、扇や雨傘などシートと筋の組み合わせにより、どちらか一方だけでは実現できない優れた特性の抽出を目指す第2世代の折紙工学を創始している。その数理を明確にし、扇を例に、見る角度により風景が異なることを利用し、左からは上の句と風景A、右から見れば、下の句と風景B、正面からは、全体の句と全体の風景と、新しい短歌の楽しみ方も示す。 |
11:45-12:05 | 厚みのある折紙チューブの稜線を介した結合による高剛性な展開構造 富田直 嶋貫研人 梅本和彦 川本敦史 野村壮史 舘知宏 折りたたみ変形はするが、それ以外の変形に対しては剛な構造になるとき、理想的な展開構造物となる。これを、大スケールの構造物にするためには、厚板で構成するための設計が必要である。本研究では、稜線を介して厚みのある折紙チューブを組み合わせることで、界面における局所的な鏡映対称性から折紙のメカニズムを保持することを提案した。さらに、剛性を増加できる構造の組み合わせが存在することを明らかにした。 |
12:05-13:00 | 昼休み |
13:05-13:20 | 二重平坦折り蝶番による切り紙立体化技法 宮本好信 切り紙による二重平坦折り蝶番により、平坦メッシュの切れ目を拡張して、多面体形状を立体造形する技法を説明する。弾性曲線円筒面、球殻面などの基本作例を示す。等角写像の局所拡張比率で二重折り線の間隔を制御して、自由形状に適用する方法を紹介する。 |
13:20-13:40 | 1種類の帯による三重周期一定負曲率曲面の分割 割鞘奏太 舘知宏 三重周期極小曲面であるPサーフェス、ジャイロイド、Dサーフェスと同相の一定負曲率曲面を、monkey saddle間をつなぐ周期的な測地線の網で1種類の帯に分割する。目的の三重周期一定負曲率曲面には、筒状の部分の径が異なる局所等長な族が存在する。曲面と分割方法の選び方により、同一の帯から別の曲面に組み替えられる場合がある。帯が十分に細い場合には、円弧で構成された境界を持つ可展面で近似できる。 |
13:40-14:00 | カレイドサイクルを平面状に連結した1自由度機構 天童智也 舘知宏 カレイドサイクルとは、ヒンジをリング状に繋げた構造で、バブルリングのような回転を繰り返す運動が特徴である。シート状のパーツによるカレイドサイクルをシートサイクルと呼ぶ。これまで本研究集会(第27、32、34回)で、複数のシートサイクルを組み合わせて作ることができる構造について紹介した。本発表では前々回に紹介した平面連結パターンへ新しい工夫を加えることで実現した、無限に連結可能な1自由度機構について紹介する。 |
14:00-14:05 | 休憩 |
14:05-14:25 | 五百折筥 その1として 木下芳夫 五百折筥(ごひゃくおりばこ)は江戸時代享保年間に加賀前田藩の有沢武貞が折った数百の箱の折り紙。(刊行本・自筆本ではなく折り紙そのもの) 武貞は兵学者、御細工所の奉行を勤めた。創作折り紙作家吉澤章氏の古典コレクションとも言うべき遺した資料の中に見つけた。武貞自筆と思われる文書(もんじょ)が箱と共に収められていた。作品の箱の紹介と、その文書の内容について発表したい。 |
14:25-14:45 | 九州大学雅俗文庫蔵『水画指南』の書き入れと文化文政期の折り紙の伝播 中村智晴 『折形手本忠臣蔵』は19世紀初頭に大坂で刊行され、江戸で追随作品も現れたことが知られている。追随作品の作者、松本一徳は、大坂で『水画指南』を著した松本一雄と同一と見られているが、直接的な物証は未確認であった。新たに確認された九州大学雅俗文庫蔵『水画指南』の書き入れからは、両者の同一性が強く示唆され、また松本一徳の活動の一端が覗える。当資料の概要を報告し、文化文政期の折り紙の伝播について考察する。 |
14:45-15:05 | 小学校の教育から折り紙が消えてしまった経緯に関する一考察 松浦英子 戦後、幼児教育の公的なカリキュラムから、フレーベル由来の折り紙の教育が消えてしまった経緯はほぼ明らかになっているが、小学校教育から折り紙の教育が消えてしまった経緯は、諸説あるものの、それを裏付ける明確な資料が未だ提示されていない。本研究は、主に『女子手工新教授法』『芸能科工作研究折紙による錬成』の2つの資料の検討により、当時折り紙の教育がどのように扱われ、位置付けられていたかを考察するものである。 |
15:05-15:25 | ヨーロッパの折り紙はいつ始まったか 羽鳥公士郎(オンライン) ヨーロッパにも折り紙の伝統があることが知られているが、その起源については、わからないことが多い。最近の筆者の調査により、17世紀に折り紙があった可能性を示唆する資料や、19世紀初頭に確実に折り紙があったことを示す資料が見つかったので、報告する。 |
15:25-15:35 | 休憩 |
15:35-15:50 | Box Pleatingによる創作技法の体系的定式化 内田壮一郎(オンライン) Box Pleatingは折り紙作品の設計において大変有効な技法である一方、その用法は体系的にまとめられていない。そのため、この技法の理解には折り紙に対する深い理解を必要とするのが現状である。今回はBox Pleatingの技法を体系的にまとめつつ、問題点や今後の展望について発表する。 |
15:50-16:00 | 折り畳み形状におけるずらし表現のORIPAへの実装 大内康治 展開図エディタであるORIPAは、折り畳み推定を行って得られた折り状態をグラフィカルに表示できる。しかし、従来の描画方法では面の重なりがどのようになっているのかを把握しにくい。その解決法として、Akitayaらは、折り図表現において一般的である「ずらし」表現を適用することを提案した。発表者は2種類の既存法をORIPAに実装したので報告する。 |
16:00-16:15 | 対角線格子パターンにおける外周部重なり順の判定問題 賈伊陽 三谷純 本研究では、地図折り問題の新しいバリエーションとして、全てのグリッドに主要な対角線の折り目を含む格子パターンを扱い、その折りたたみ可能性について議論する。その成果の1つとして、地図の外周部の全ての三角形の順序が提供されると、与えられた順序で三角形のレイヤーが重なっている折り畳み状態に至る単純折りの手順の存在性を判定できることを明らかにした。また、この判定を行い、可能な場合は指定された順序に従う折り畳み状態に到達するための合理的な折り方を出力する多項式時間アルゴリズムを開発した。 |
16:15-16:55 | 短時間発表 |
5min | 任意平面ポリラインに沿った柱面に折り変形する切紙構造の設計手法 十塚響 安逹瑛翔、舘知宏 前回の集会では長方形パネルが折り目を介して格子状に並んだ切紙構造「切紙ラティス」を紹介した。本会ではこれを応用した、任意平面ポリラインに沿った柱面に折り変形する切紙構造の設計手法を提案する。単層の切紙ラティスは多自由度機構で折りや形状の制御が困難だが、パラメタの異なる2層を貼り合わることで1自由度化した。また、パラメタを調整することで任意平面ポリラインに沿った柱面に折り変形する切紙構造を設計した。 |
5min | 2方向曲げ可能なミウラ折りのパターン設計による空間曲線生成手法の提案 森山空良 舘知宏 前回研究集会では、ミウラ折りのセクター角変化によって面内・面外2方向に曲率を持った空間曲線を折る手法を提案したが、この曲線は曲面上の主曲率線に限られていた。本研究では、この技術を応用し、任意の空間曲線を近似する手法を提案する。任意の単一空間曲線を考えた際、その曲線を主曲率線とするような曲面を逆設計することができる。これら曲線と曲面を用いることで、当該曲線を近似するミウラ折りパターンを生成する。 |
5min | 折り紙の用語について 前川淳 折り紙関連用語について意見をうかがいたい。たとえば、創作折り紙の設計における枝分れ構造を指す言葉として、樹形図、樹状図、木構造、枝分かれ構造など、数学などから借用した言葉が使用されているが、これらについて、どの言葉が最も適当かをうかがいたい。 |
5min | 「折紙っぽさ」の考察 勝川 東 一口に折紙と言っても、有機的な形状から幾何学的な線、写実的な作品から折紙的なデフォルメまで幅広い。また、構造的あるいは視覚的効果から、折紙的要素でデザインされたプロダクトが増えている。そんな中で、折紙愛好家から一般の人々まで、色々な層へのアンケートを元に、折紙っぽいと感じる要素について考察する。 |
5min | An origami longitudinal-torsional wave converter Zhu-Long Xu Wave mode conversion has received great attention in the past few years. In this work, we propose a Kresling origami wave-mode converter which can transform the longitudinal waves of one rod to hybrid or near-pure torsional waves in the other one. Both the converted transient and steady-state wave propagation as standing waves in the proposed rod system are studied with a special focus on the frequency-dependent wave-mode contributions. An experimental system based on optical fiber Bragg gratings (FBGs) is set up to verify the Kresling-ori wave converter. The longitudinal–torsional wave converter based on the origami engineering has potential applications in wave manipulation, wave energy distributing, or unidirectional wave transmission. |
10min | Generalization of Rigid-foldable Tubular Structures Kiumars SHARIFMOGHADDAM We introduce an alternative way of constructing continuous flexible tubes and tubular structures based on a discrete, semi-discrete and smooth construction of surfaces known as T-hedra in the discrete case and profile-affine surfaces in the smooth setting, respectively. The geometric understanding of this method enables us to generalize discrete tubes with a rigid-foldability and to extend the construction to smooth and semi-discrete tubes with an isometric deformation.This achievement implies a unified treatment of continuous flexible structures, like surfaces and metamaterials composed of tubes, and it is the base for a deeper study of zipper tubes and their generalization. |
短時間発表質疑 | |
17:00 | 閉会 |