折り紙の科学・数学・教育研究集会

折り紙の研究は、歴史、数学、工学、計算機科学、教育などの分野と結びついて、学際的な(学問の分野を越えた)広がりを持っています。日本折紙学会では、広く各分野の研究者と連携し、定期的に研究集会を開催しています。

研究集会の成果は、機関誌『折紙探偵団マガジン』の記事、会員特別配付資料論文集『折り紙の科学』に反映されます。

「折り紙の科学・数学・教育研究集会」という長い名前は、1989年に物理学者・故藤田文章氏の提案により始まり、2018年までに不定期に合計7回行われた国際会議の名称にちなんでいます(同会議は、第3回以降「The International Meeting of Origami Science, Math, and Education」(折り紙の科学・数学・教育国際会議)という名称となっています)。 なお、ここでの「科学」は自然科学に限られるものではなく、歴史研究などの人文科学研究も含まれています。


第32回折り紙の科学・数学・教育研究集会

日程
2022年6月18日(土)10:00-17:30
申し込み方法
プログラム概要決定後、あらためて申し込みを受けつけます。
申し込みや課金はオンライン(コンビニ決済含む)で行います。
URLなどはあらためて連絡します。
参加資格
とくにありません。
参加費
1000円
プラットフォーム
Zoomを用います。参加者希望者は、各自ZOOMの環境をご用意ください。
主催
日本折紙学会

申し込み

Passmarketよりチケットをご購入下さい。


プログラム

6/11 プログラムを更新しました。

10:00-10:05会の進め方など

10:05-10:35

共通展開図の非存在性証明のための離散的アプローチ
鎌田斗南*、上原隆平
2つの多面体に対して、それぞれの表面を(辺に限らず)自由に切り開くことで同型の多角形を作れる時、共通展開図を持つという。2つの多面体が共通展開図を持たないことは、どの多面体の間でも証明されていない。本研究では、代数的かつ有理数上線形独立な内角を持つ三角形二面体を対象に、共通展開図の非存在性を計算機実験で示す手法を紹介する。本研究はE.D. DemaineとE.Arsenevaとの共同研究である.
10:35-11:05一次元折り紙の計算複雑性と電子署名方式への応用
芳師渡淳之介*、安細勉、鎌田斗南、上原隆平
長さn+1の短冊状の紙を,等間隔に刻まれたn本の折り目に従って長さ1に折り畳んだとき、各折り目に挟まる紙の枚数を折り目幅とよぶ。本発表では、折り目幅の列を入力として、それに矛盾しない折り畳み状態が存在するかを判定する問題を「折り目幅復元問題」として提案し、その計算複雑性を証明する。さらに、問題の計算量的複雑性を利用した新たな電子署名方式を提案する。
11:05-11:35回転対称な折り紙の多面体への適用とヒダの縮小について
土井護
回転面を折り紙により近似するには様々な手法がある。その中で、回転対称な折り紙はパルマ―、ラング、三谷らにより科学と芸術の両面で大きく発展した。この手法では、完成した折り紙は回転面に外接する柱面から構成 され、近似面の外側にヒダが現れる。近似の観点からはヒダの面積はなるべく小さい方が望ましい。本発表では、回転対称な折り紙を多面体に適用してヒダを縮小する方法と、その折り紙押出成形との関連について述べる。
11:35-11:45ドラゴン曲線を折る(ワークショップ)
三谷純
紙テープのような、細長い紙を準備し、それを半分、半分・・と繰り返し折ってから、すべての折り目の角度を直角になるように開くと「ドラゴン曲線」と呼ばれるパターンが現れる。ドラゴン曲線は、自己相似性があり、フラクタル図形の1つとして知られている。本ワークショップでは、実際にドラゴン曲線を折って観察することを行う。 #細長い紙を数片、準備してください。
11:45-12:05繰り返し折る折り紙
三谷純
単純な折り操作を繰り返し行うことで、藤本の漸近等分法のように、折り目の位置を意図した位置に収束させられることがある。また、放物線の包絡線を描くような折り目を作り出すことも可能なことが知られている。このように、一見すると単純な折り操作を繰り返すことで興味深い結果が得られる事例を紹介し、「繰り返し折る折り紙」の可能性について議論する。
12:05-13:00昼休み
13:00-13:15単頂点展開図の平坦折り畳み可能性を満たすような折り線補間
大内 康治*、上原 隆平
折紙作品を設計する際に、展開図上のひとつの頂点周りの平坦折り畳み可能性を満たすような折り線を求めなければならないことがある。本研究ではこれを単頂点展開図の折り線補間問題として定義する。この問題の入力は奇数本の折り線からなる単頂点展開図であり、適切な折り線を1本挿入して平坦折り畳み可能にすることを考える。本発表では、入力された折り線の本数をnとした時にO(n^2)時間で解を列挙するアルゴリズムを示す。
13:15-13:45地図折り操作の行列表現
賈伊陽(カ イヨウ)
本研究では、地図折りをブール行列代数に埋め込む新しい方法論を導入する。まず地図の各折り畳み状態(途中の状態も含む)を状態ブール行列に変換し、さらに2つの連続的な折り畳み状態をつなぐ折り操作を演算子ブール行列に変換する。ブール代数の自然な足し算と掛け算を使うことで、任意の地図折りを行列演算の列として表現できる。この結果は、平坦折り紙を行列の形で表現し、代数構造と関連付けることの可能性を示している。
13:45-14:05三角形のねじり折りによる平坦折り可能な展開図の再構成
山本陽平*、三谷純
第31回研究集会の山本の報告では、ツルの基本形を例に挙げ、一般的な平坦折り可能な展開図は、三角形のねじり折りを連結したモデルで再構成できることが示された。今回、その再構成の処理をソフトウェアとして実装し、吉村パターンやミウラ折り,ナマコ折りなど、既存の展開図に対して変換を実施した。実装に関係する数学的な背景を解説するとともに、再構成によって得られた結果と考察を報告する。
14:05-14:25五芒星の底面をもつピラミッドとその展開図
奈良知惠*、土居大輔
風船折りの基本形(正方形折り紙の対角線を山折,中線を谷折)は縁を十字形にして立てると、正四角錐に内接する。また,n≧7のとき、星形n角形を同様な山谷で折ると、正n角錐に内接させることができる。では、星形n角形の中心から頂点までの距離を変化させてできる図形(擬星形n角形と呼ぼう)を山谷で折って、正n角錐に内接し、底面が星形n角形になるようなものは存在するか? 本講演では,n=5 のとき存在し,しかもその場合に限ることを述べる。
14:25-14:45一般化RESパラメトリック設計技法
宮本好信
非軸対称RESの展開図と起立形状を設計するツールをカトル(Cuttle: 汎用カット図作成Webアプリ)上のJavaScriptで実装した。傾斜、平行移動、角度縮小の変形を視覚的に調整して折切図を生成するツールのデモをする。Origami Simulatorで即時に起立過程を検証できる。立体的対数螺旋デザインなどの作例を示す。併せて、カトルの概要と作図基本操作法を紹介する。
14:45-15:15カレイドサイクルを連結して作る変身立体構造その2(含・ワークショップ)
天童智也*、舘知宏
前回(第27回2019/12)の発表では、複数のカレイドサイクルを球状に連結した構造を紹介した。様々な形に変形し、また内側と外側を入れ替わることができる点や、一部分を動かすと全体が連動する点が特徴であった。今回はカレイドサイクルを平面状に連結した構造について、前回紹介した構造と同様に、一部分を操作することで、全体を連動させることができる連結パターンを発見したので報告する。また連動性を高める工夫についても紹介する。 #発表前半にカレイドサイクルを作るミニワークショップを行います。ハガキ程度の厚み・サイズの紙(できれば裏表で色が違うもの)1枚、ビニールタイ(3㎝程度の長さに切ったものを8本)、ハサミ、穴あけパンチをご用意下さい。
15:15-15:20 休憩
15:20-15:40折り紙作品の折り線に関する教材開発
烏山凌輔
芳賀により提唱されたオリガミクスでは、模倣作品を作ることが想定されていない。しかし、中学生にとって折り紙は作品を作るものという認識がある。そこで、折り紙作品を考察しながら論理的思考力を育める教材開発を目的とした。具体的には、折り鶴の複数工程後にどのような折り線がついているかを考える問題を想定し、生徒の活動の可能性を探った。今後、折り紙を扱う教育的意義を明らかにしていきたい。
15:40-16:00折り紙普及団体の活動が成人のキャリアデザインに与える影響に関する一考察
松浦英子
折り紙普及団体の活動は、単なる伝統文化の補完だけではなく科学の発展にも寄与しているが、この活動に携わる人々のキャリアデザインにも影響を与えてきたと考えられる。OrigamiUSAやBritish Origami Societyをはじめとする、今日スタンダードとなっている折り紙普及団体の活動スタイルの、どういった部分にそのような仕組みが備わっているかについて考察する。
16:00-16:20正四面体の測地線折り
西本清里*、堀山貴史、舘知宏
第26回研究集会にて、正四面体に正三角形グリッドの折り目パターンを施して得られる多面体を提案した。この多面体の形状は2つの自然数の組で表現でき、元の正四面体より体積が大きくなる、測地線に沿う帯に展開できるといった性質を持つ。本発表では、その後の研究による多面体の三次元形状についての解析結果を報告する。また、多面体の性質を応用して制作したZipper四面体、かごめ編四面体、組紐の分岐構造等の作品を紹介する。
16:20-16:40複雑な折り紙支援のための折り紙シミュレータ開発
鈴木成也*、前田雄介
本研究グループでは、複雑な折り紙の作成を容易にするために、折り紙シミュレータ、カッティングプロッタ、スマートグラスを組み合わせた支援システムの開発を行っている。本研究では、支援システムがより複雑な折り紙作品を扱えるように、折り紙シミュレータにおける、モデリングの改良や新たな折り機能の追加、分かりやすい折り手順の呈示機能の開発を行った。
16:40-17:00放射状の巴型パターンを用いたコンプライアントな折りヒンジ構造
LEE Munkyun(イ・ムンギュン)*、舘知宏
折紙構造の折り目に幅を持たせたコンプライアントな折りヒンジは、遊びが生じること、パネル間の回転中心が保持されないことから、複数の折線の変形動作の連動性に課題がある。本研究では巴型切紙構造を球面拡張しその上に放射状のスリットを配列することで球面ジョイントを構成する。この球面ジョイントを一直線上に並べ、ヒンジを構成することで、遊びの低減と回転中心の保持が期待できる。
17:00-17:103次元折紙テセレーションの群構造
須藤海*、舘知宏
3次元上の折紙テセレーションはミウラ折、吉村パターン、ねじれ多重塔などが挙げられる。ミウラ折りや吉村パターンは平面や円筒を近似するクラスである。しかし、ねじれ多重塔のような自己相似的な3次元折紙テセレーションの数理は今まで明らかにされていなかった。本研究では折紙テセレーションの数理を群論的アプローチで構造化し、ねじれ多重塔が持つ対称性を表す群から円錐面を近似するクラスであることを明らかにする。
17:10-17:30飛び入り発表など
*は発表者

研究集会の各回の情報