折り紙の科学・数学・教育研究集会

折り紙の研究は、歴史、数学、工学、計算機科学、教育などの分野と結びついて、学際的な(学問の分野を越えた)広がりを持っています。日本折紙学会では、広く各分野の研究者と連携し、定期的に研究集会を開催しています。

研究集会の成果は、機関誌『折紙探偵団マガジン』の記事、会員特別配付資料論文集『折り紙の科学』に反映されます。

「折り紙の科学・数学・教育研究集会」という長い名前は、1989年に物理学者・故藤田文章氏の提案により始まり、2018年までに不定期に合計7回行われた国際会議の名称にちなんでいます(同会議は、第3回以降「The International Meeting of Origami Science, Math, and Education」(折り紙の科学・数学・教育国際会議)という名称となっています)。 なお、ここでの「科学」は自然科学に限られるものではなく、歴史研究などの人文科学研究も含まれています。


第30回折り紙の科学・数学・教育研究集会

日程
2021年6月20日(日)10:00-16:30
申し込み方法
Passmarketによるチケット販売
申し込みや課金はオンライン(コンビニ決済含む)で行います。
URLは前日までに連絡いたします。
参加資格
とくにありません。
参加費
1000円
プラットフォーム
ZOOMを用います。参加者希望者は、各自ZOOMの環境をご用意ください。
主催
日本折紙学会

申し込み方法

PassMarketによるオンラインチケット販売となります。クレジットカード及びコンビニ決済で購入いただけます。

申し込み者には、前日までにZoomの参加URLをメールでお伝えいたします。

6/20 イベント終了しました。

プログラム

10:00-10:10会の進めかたなど

10:10-10:40

続・Rep-cube:立方体の展開図の展開図分割に関する研究
岡田珠美、上原隆平
2017年の第22回折り紙の科学・数学・教育研究集会で新しい概念であるRep-cubeと、当時知られていた結果を紹介した。これは、立方体の展開図を複数の展開図に分割する問題である。当時は試行錯誤による結果がほとんどであったが、その後、数理的な性質も含めて多くの結果が得られた。こうした進展をまとめて報告する。特に前回発表時に前川氏から提案されたパズルに対し、コンピュータを用いた方法で解を見つけることに成功した。
10:40-11:00あじさい折りに含まれる三角形のねじり折り
山本陽平、中里陸、三谷純
藤本修三によって考案された「あじさい折り」は、多くの折り紙愛好家に親しまれている。その展開図は、一般的に正方格子上で作図されるが、第29回研究集会で山本が報告した方法でも作図できることが判明した。この作図法によって、あじさい折りの展開図は、一部のプリーツ同士が重なるように位置した三角形のねじり折りの連結と同等であるとわかった。本報告では、これらの作図法と、そこから得られた知見について報告する。
11:00-11:20地図折り問題における折り畳み状態の行列表現
賈伊陽(カ・イヨウ)、三谷 純、上原 隆平
地図折り問題では、単位正方形の形に折り畳まれた最終状態は正方形の全体集合における順序に対応し、論理行列で表現できる。このような表現で、折り畳み過程に対する直感的な認識が得られる上に、各平坦な中間状態を数理的に計算できる。特に単純折りモデルとの適合性が高い。論理行列を用いて、地図折りに関する幾つかの問題を自然な方法で解決できる。また、異なる折りモデルが1*nとm*nの地図に応用される際の相違点を明晰に表せる。
11:20-11:40回転で立体化する折り切り紙:RESの構造的な剛性
米田大樹
幾何的な拘束と弾性変形に注目して、平坦シートが組み合わさった構造の駆動における立体形成の力学を考える。ここでは、折り紙と切り紙の要素を持つRES(Rotational Erection System)の立ち上がりを議論する。RESは平面の状態から回転を伴って、3次元的な剛性の高い安定形状に飛び移る。この駆動過程と耐荷重の力学応答を、実験による測定と数値シミュレーション、薄膜弾性理論による考察を併せて発表する。
11:40-12:00ワークショップ(折り紙講習):三分の一立方体
前川淳
12:0-13:00昼休み
13:00-13:30折り紙押出成形における切頂された立体ガジェットについて
土井護
底面に平行な上面と、1つの稜を共有する2つの側面からなる立体に対し、稜の下端にある頂点を含む平面で稜の上端にある頂点を切り離してできる立体(切頂体)を考える。本発表では、折り紙押出成形において、このような切頂体を2つの単純プリーツを用いて生成する立体ガジェットをある条件の下で構成する。その際重要となるのは、展開図上で左右の側面と切断面の3つの頂点が集まる底面上の点の存在する範囲を定めることである。
13:30-13:50複雑な折り紙のための折り支援システムの開発
前田 雄介、中島 裕二、鈴木 成也
複雑な折り紙作品を折る作業を容易にするために、折り紙シミュレータ、カッティングプロッタ、スマートグラスを組み合わせたシステムの開発を行った。紙厚を考慮した折り紙シミュレータ上で再現された折り紙作品の情報から折り筋をカッティングプロッタで付加するとともに、折り手順をスマートグラスでAR表示することで折り作業を支援できる。
13:50-14:05RES樹脂板自律折り(Self-folding of polymer sheet RES using light and microwave)
宮本好信
回転建立方式(RES: Rotational Erection System)を自律加工する方法を紹介する。熱収縮性ポリスチレン板に切り線をNC加工、折り線を黒色印刷し、赤外線を照射することで、cmスケールの自律加工を実証した。谷折り線のみのパタンを設計し、RESの二安定性を活かした。家庭用電子レンジと電磁波吸収インクによる樹脂板局所加熱の予備実験結果についても言及する。
14:05-14:20気圧展開多安定性円筒非平坦折り(Inflatable multi-stable non-flat-folding cylinder)
宮本好信

多面体近似円筒面の軸方向の折りたたみにおいて、等長条件の下で吉村パタンからクレスリング・パタンに遷移し、さらに浅い円錐状に折りたたむ方法は、スプリング・バック防止に有効なセルフ・ロック性を有する。内部空気圧により、これを軸圧縮抵抗に有効な吉村パタンに展開安定することを飲料缶サイズのPPシート模型実験で確認した。反角柱の平坦折り、非平坦折りについても言及する。
14:20-14:30休憩
14:30-14:55日本国内における折り紙研究の動向
松浦英子
現在、国立情報学研究所が運営する学術文献のデータベースCiNiiで折り紙の文献を検索すると、1700件以上を見つけることができる。教育分野の研究は1980年代から現れ始め、1996年より年間の文献登録数は2桁になり、その後横ばいとなっている。一方、折紙工学の分野の登録数は2000年に教育を追い越し、現在の年間平均登録数は教育の約3倍に及ぶ。このような動向の背景には何があるのかを考察する。
14:55-15:10蛇腹折りを活かしたBook Foldingアート作品の展開図生成方法の提案
Su Dan(ソ・タン)、山本陽平、三谷純
本研究では、工業製品などに用いられるジャバラを対象とし、Book Foldingのようなアート作品の生成を支援するシステムを研究開発する。Book Foldingとは、本のページを折り曲げて小口に文字や図形を描き出した作品と知られている。本研究が生成するアート作品は、1枚の紙から作られるジャバラを本のページに見立てて、Book Foldingの技法を用いた文字や図形を描き出す。
15:10-15:30切頂八面体による平坦折畳み可能な立体の展開図と建築への応用
小林祐貴、奈良知惠、桐原靖也
切頂八面体からいくつかの面を取り除いたものを連結することで、平坦に折り畳み可能な立体を構成することができる。この立体を作成する展開図と、切頂八面体を積み重ねた柱を立体に追加することで剛になる領域を示し、建築的なスケールでの活用を想定して作成した模型を紹介する。
15:30-15:55ZDDによる45度系格子パターンにおける局所平坦折り可能な展開図の列挙
榎本 優大、脊戸 和寿、堀山 貴史、三谷 純
多くの折り紙の基本形は45度系格子パターン上に描ける。これまでに、山本と三谷により、4×4 の大きさの局所平坦折り可能な展開図が列挙され、それらが無矛盾に折り畳めると仮定して折り畳み後の平坦折り形状が調べられている。その後、松川と三谷により、矛盾なく折り畳めるかが判定されている。本研究では、扱う格子サイズの拡大の第1ステップとして、ZDD (零抑制型二分決定グラフ) により局所平坦折り可能な展開図の列挙を行う。
15:55-16:15不等辺シザーズによる一定負曲率曲面
小野富貴、舘知宏
自然界によく見られるサンゴやレタスの曲面は、面の中心から縁にかけて成長率が増化するdifferential growthという仕組みによる。本研究では弾性変形する不等辺シザーズを用いてdifferential growth を再現し、曲面に変形する機構を設計することを目指す。ガウス・ボンネの定理を用いることで一定負曲率曲面から逆算して機構のシザーズの形状を得ることができる。設計された機構は、畳まれた状態と曲面化した状態とを行き来することが可能である。
16:15-17:00飛び入り発表など

研究集会の各回の情報