第24回折り紙の科学・数学・教育 研究集会

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第24回折り紙の科学・数学・教育 研究集会

第24回折り紙の科学・数学・教育研究集会を、下記の要項で行ないます。
会は、研究者の発表と質疑というかたちで行われます。どなたでも聴講できます。

日時
2018年6月16日(土)10:00-17:00(昼食は各自)
場所
JOASホール(文京区白山1-33-8 朝日マンション2F 都営三田線白山駅下車すぐ) (地図
参加費
1000円
参加資格
なし。当日会場へお越しください。
備考
会の終了後、懇親会を行います。
主催
日本折紙学会(連絡先:webman@origami.gr.jp)
九州会場への中継
九州(佐賀大学会場)へ、ネット中継を行います。
  • 会場:佐賀大学
  • 参加予約:不要です。
  • 詳細は、追って連絡します。
  • 参加費:一般 1000円、学生500円

プログラム

内容は変更になることがあります。
会の終了後に懇親会を予定しています。
10:00-10:25 Origami Simulatorを用いた曲線折りシミュレーションにおける課題
佐々木好祐、三谷純
Amanda Ghassaei 氏が開発したOrigami Simulatorは、山谷の折り線、および補助線からなる展開図データを入力として受け取り、折り過程をシミュレートする。折り線と補助線は直線に限定されるため、対象となる形状は多面体から構成される必要があるが、折れ線によって曲線を近似し、ruling方向を補助線として与えることで、曲線での折り過程を近似することが可能である。本発表では、Origami Simulatorを使って曲線を含む折り紙のシミュレートを行う手法とその課題を紹介する。
10:25-10:40 曲線折りの設計支援・折り動作のシミュレーションツールの提案
渡辺優香、三谷純
曲線折りの設計支援、折る過程の紙の動きの確認のためのツールを開発した。曲線折りは、折る過程で紙の曲がる方向、つまり線織線の方向が変化する。提案するツールでは、紙面上の折り線形状(2D)、折った状態の折り線形状(3D)、折り角度が、相互に作用しあうことを利用し、曲線折りモデルの折り角度を徐々に変化させ、それに伴い3D形状と線織線の方向を更新することで、折る過程の紙形状を再現する。線織線の交差を低減するための入力補助機能も試作した。
10:40-10:55 Flat-foldability of crease patterns on 1 x n square/diagonal grid
Yiyang Jia、三谷純
We give a proof that for each formal crease pattern, one of their flat-folded states can be reached in O(n) time. We also give a proof that the grid pattern itself can be reached to the flat-folded state in O(n) if locally flat-foldable mountain-valley parity is assigned to each edge.
10:55-11:00 休憩
11:00-11:25 Origami Checkerboardパズルの最適解探索
大島和輝、三谷純、上原隆平
表裏色違いの正方形の紙を折り、できるだけ少ない折りの回数で3×3のドットパターンを出現させることが目的のOrigami Checkerboardというパズルがある。 パターンは50通りあり、全パターンに対する折り手順が発見されていたが、それらが最短手数かどうかは明らかではなかった。発表者らは2017年06月の発表以降探索を進め、開始格子サイズ4×4〜9×9、最大手数6手の範囲での解の全列挙を行った。
11:25-11:50 効率の良い展開図の切り出し問題
上原隆平
大きな紙から、多くのパッケージを作り出す問題を考える。カットにコストがかかるため、なるべくカットの長さを短くしたい。また資源削減のため、ゴミは出したくない。こうした場合、パッケージの展開図をタイリングに限定するとよいだろう。ここではさらに、パッケージは4単面体とする。4単面体の展開図で、なるべくカットが短い、あるいはなるべく容積を大きくするには、どういった展開図を選べばよいかという問題について発表する。なおこれはErik Demaine, Martin Demaine との共同研究である。
11:50-12:00 規格紙を用いた入れ子構造作品について
川村みゆき
A列やB列の規格紙を用いる事で、入れ子構造作品を容易に製作できることを示す。
12:00-12:50 昼休み
12:50-13:10 小野田嘉子氏によるカワサキローズの無断商業利用
川崎敏和
松浦英子氏が見つけてくださった、小野田嘉子氏によるカワサキローズの無許可使用事例を報告する。サイト:「心が整うバラ折り教室」。改変されたバラは、前半が「ガクのあるバラ」で、後半が1分ローズである。
13:10-13:35 なぜ折り紙は学校教育から消えたのか
松浦英子
明治時代、幼児教育と初等教育に折り紙が導入され、折り紙教育は紆余曲折ありながらも昭和時代に入るまで続いていた。しかし現在の学校教育にはその面影が無い。文献には戦後消えたとの記述が多数見られる。一体それは誰のどのような発言によるものだったのか追究してみたい。
13:35-14:00 正四面体の展開図の分解について
高村侑樹
本研究は第22回研究集会において上原氏により発表されたRep-cubeに関する研究に触発されたものである。次の問題を考える:1つの正四面体の展開図をn個の正四面体の展開図に分解するのはどのようなnに対して可能か。展開図の形状に制限がない場合の結果は既知である。本研究ではもとの展開図も分解後の展開図もポリイアモンドである場合について、この問題を解決した。
14:00-14:15 仕切りのある箱の平坦折り畳み
奈良知惠
直方体の箱は薄紙のように折り目で折れる素材のとき、上面を垂直に平行移動させて、切ったり伸ばしたりせずに平坦化する方法が種々求められています。しかし、内部に仕切りの入った箱については平坦折り畳み状態の存在を示すことさえも容易ではなく、問題となります。ここでは、内部を7個の領域、すなわち、小さい立方体とその周りの6個の四角錐台によって分割した立方体について、平坦折り畳み状態が存在することを述べます。
14:15-14:40 切頂八面体に基づく柔軟な周期的立体の展開図
小林祐貴、奈良知恵
切頂八面体に基づく柔軟な周期的立体は、切頂八面体から面を取り除き平坦化することができる立体であった(第23回当研究集会、奈良)。本発表では、その立体の展開図について述べ、剛な切頂八面体を追加することで柔軟な立体が剛となる範囲についても述べる。
14:40-15:05 平行斜め山谷付き折り目による紙帯の平坦折り
伊藤大雄、戸村瑞穂、奈良知惠、白濱和泉
本研究では、平坦折り可能性問題のうち、紙を平行四辺形の横長の紙帯(長辺と短辺の角度をθとする)に限定し、折り線が全てその短辺に平行であり、全ての折り線に山谷が与えられている問題「平行斜め山谷付き平坦折り問題」に対し線形時間算法を与える。 この問題は、θ=π/2の場合にはArkinらによって既に線形時間算法が与えられているが、我々の問題はその一般化である。
15:05-15:10 休憩
15:10-15:35 ヴィヴィアーニ曲線の球面展開デザイン
宮本好信
球面近似展開図には、りんごの皮むきパタンや地球儀の舟形地図がある。前者は1枚のS字螺旋形、後者は12〜18枚の紡錘型であり、いずれも展開図の余白が多い。球面曲線Viviani Curveを基準にした5〜10枚程度の準S字形で、視覚的球状感に優れた造形と余白が少ない効率的展開図配置が可能であること示す。この方法を応用した曲面/多面体デザイン作品とその手法を紹介する。
15:35-16:00 折り紙による方程式の解法と包絡線の作図について
門口あきら
阿部、藤田などの方法をもとに、アルペリンは折り紙による3次方程式の解法をまとめた。その解法は折る操作に関する7つ公理の1つである、2つの放物線の共通接線を引くことに等しい折り方を利用している。本発表ではアルペリンによる3次方程式の解法について紹介した後、放物線の接線を繰り返し折ることで放物線自体を作図する包絡線の性質をもとに、より一般的な曲線が包絡線となるような作図方法が存在することを示す。
16:00-16:25 弾性シェル構造体の柔軟な変形と力学機能
米田大樹
自然の中には、幾何学だけではなく弾性も展開に大きく寄与する薄膜構造体が数多く見つかっている。例えば甲虫の後翅は、ばねのように一瞬で弾性展開する。面の弾性変形は立体的な変位と応力を同時に考える複雑な現象で、物理学的に明確でないことが多い。そこで本研究では、「紙ばね」や「曲がるストロー」のようテーブルトップで観察・実験可能な系に着目し、実験と理論を組み合わせ展開時の形状と力学特性を調べた。
16:25-16:50 折紙の初期状態からの重心移動 -折紙重心理論の開拓-
栗原泰成
驚くべきことに折紙の重心移動についての研究例は未だに少ない。本発表では理論の導入から基礎的な定理を述べる。また、初期状態にて任意の直線で折った時の重心移動の式を導出する。最後に、折紙の重心に関するテーマの発展について述べたい。
16:50-17:00 複数の多面体に折れる一自由度機構
舘 知宏 堀山 貴史
複数の多面体に折れる共通の展開図を使い、その中から必要な部分折り線だけを折ることで、ターゲットの多面体を選択的に作れる。しかし、一般に辺展開の展開図は折り線が独立しているため、変形の自由度が高く正しく変形をコントロールすることがむずかしい。本発表では二つの四面体になる共通の展開図について、それぞれの四面体へ変形するモードが一自由度機構となるように頂点にガジェットを構築する方法を提案する。
17:00- 飛び入り発表など
17:30(?)- 懇親会

発表者募集

締め切りました。

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