第23回折り紙の科学・数学・教育 研究集会
第23回折り紙の科学・数学・教育研究集会を、下記の要項で行ないます。
会は、研究者の発表と質疑というかたちで行われます。どなたでも聴講できます。
- 日時
- 2017年12月16日(土)10:00-17:00(昼食は各自)
- 場所
- JOASホール(文京区白山1-33-8 朝日マンション2F 都営三田線白山駅下車すぐ) (地図)
- 参加費
- 1000円
- 参加資格
- なし。当日会場へお越しください。
- 備考
- 会の終了後、懇親会を行います。
- 主催
- 日本折紙学会(連絡先:webman@origami.gr.jp)
- 九州会場への中継
- 九州(佐賀大学会場)へ、ネット中継を行います。
- 会場:佐賀大学 教育1号館 2階101教室
- 参加予約:不要です。当日会場までお越しください。
- 参加費:一般 1000円、学生500円
プログラム
内容は変更になることがあります。会の終了後に懇親会を予定しています。
- 10:00-10:10 準備、インフォメーション
- 10:10-10:35 コンピューターを使わない曲面折り紙設計 三谷純
- コンピューターを用いた折り紙の設計手法が様々に提案されているが、空間曲線での折りを含む形状の設計は未だ難しい問題である。一方で、デビッド・ハフマンの作品に代表されるように曲線折りを含む造形は古くから存在し、それらの多くは経験と勘に基づいて設計されたものと思われる。本発表では、曲線での折りを含む基本形状を複数紹介し、それらを組み合わせることで、コンピューターを使わずとも様々な造形が可能なことを示す。
- 10:35-10:55 形状シフトモデルから空間分割膜へ 奈良知惠
- 立方体や切頂八面体は、無限個の合同コピーを用いて、面同士を張り合わせるように配置すると空間を隙間なく埋め尽くすことができる。このとき、面全体の集合またはその部分集合を「空間分割膜」と呼ぶことにする。例えば、一部分の面から生成される規則的な膜で、空間を二分割する膜には正スポンジや半正スポンジがある。ここでは、膜も連結になり、分割された空間も連結になるような規則的空間分割膜を考える。
- 10:55-11:00 休憩
- 11:00-11:20 平織りによる2層構造のタイリングを用いた任意図形の表現 山本陽平(発表)、三谷純
- 幾何学的なタイルの並びを折り紙で表現する手法として平織り(Tessellation)が知られている。本発表では、上層と下層のどちらであるかを割り当てた凸多角形の集合を入力とし、平織りを基本とした構造を用いて上層の多角形が下層から持ちあげられるよう折り畳むことで、上層の図形が浮かび上がって見える造形手法を提案する。紙の衝突を考慮しないという条件の下、任意の図形から展開図を生成する一般的な方法を考案した。
- 11:20-11:50 折り紙指向の抽象立体造形(ナウム・ガボ、リジア・クラーク) 宮本好信
- ロシア構成主義の芸術家ガボ(Naum Gabo、1890-1977)は19世紀の空間幾何模型に影響を受け、伝統的量塊表現を用いない空間表現指向の立体構成による造形手法を創案した。ブラジルの女性芸術家クラーク(Lygia Clark、1920-1988)は構成主義的平面作品を経て立体作品に移行し、蝶番連結した金属による剛体折り紙を鑑賞者が操作する作品とした。
- 11:50-13:15 昼休み
- 13:15-13:35 2枚貼り折りによるアルミ缶適用に関する検討 - TMPとNPの圧潰力と剛体折りの観点からの比較 阿部綾
- 野島ポリへドロンと舘-三浦ポリへドロンは両方とも2枚貼りの対称な折紙構造であり、軸方向にも半径方向にも折り畳むことができる。それらをアルミニウム缶に適用することができれば便利である。我々は、両構造の圧潰特性および剛体折りの観点からの比較を通して、その可能性について検討した。
- 13:35-14:00 ミウラ折りの押し出しによる面接着可能なサンドイッチパネルコア材生成と両面タイリング折紙のバリエーション 須藤海(発表)、舘知宏、山口泰
- ミウラ折りはサンドイッチパネルのコア材として応用されている。本発表ではミウラ折りを斜めにカットし、カット辺を押し出すことで面接着可能な新たなコア材生成方法を紹介する。さらに生成されたパターンのうち、条件のいいものを折り進めていくと新たな両面タイリング折紙のバリエーションが得られた。
- 14:00-14:35 折鶴に松図小柄 羽鳥公士郎
- 以前より、日本の遊戯折り紙は武家の礼法折り紙から派生したと考えられてきたが、その詳細な経緯は不明だった。しかし、16世紀末に後藤栄乗によって作られたと鑑定されている「折鶴に松図小柄」が報告されたことによって、江戸時代より前の日本における遊戯折り紙の姿が見え始めた。折り紙史の文脈でこの小柄が持つ意義について考察する。
- 14:35-14:40 休憩
- 14:40-15:05 等高重心立体と展開図 平田浩一
- 昨年12月の研究会で「錐体の体積公式と可展面」について発表した後で、三谷先生からスフェリコンという立体のことを教えてもらいました。この発表は、その研究の続編で、スフェリコンのように平らな床の上をゆらゆら揺れながら転がる立体としての等高重心立体について、その作り方と展開図について報告します。
- 15:05-15:40 Tri-folding Device 三浦公亮
- A4またはレター判の用紙を、縦三つ折りにする操作は、折り紙としては最も単純なものだ。意外なことに、満足に使えるような方法や文具は、私の知る限り存在しない。本研究では、二つ折りに匹敵する精度と易しさで、三つ折り(外折り、内折り)ができる方法とそのデヴァイスを提案する。
- 15:40-16:15 細胞折り紙における折りやすさの研究 繁富-栗林香織、堀山貴史、上原隆平(発表)
- 細胞折り紙はセルフフォールディングの応用の一つと考えられるが、既存のセルフフォールディングの枠組では、こうした細胞折り紙を正しく評価することが難しい。特にある種の展開図では「細胞にとって折りやすい展開図」を評価することができない。本研究では、物理制約を正しくモデル化することで、既存の枠組よりも、細胞にとって折りやすい展開図を、より精密に評価する方法を提案する。
- 16:15-17:00 飛び入り発表、情報交換
発表者募集
締め切りましたが、飛び入りの短い発表(5分以下)は、当日受け付けます。過去の研究集会の情報
- 第1回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2006年12月)
- 第2回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2007年5月)
- 第3回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2007年12月)
- 第4回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2008年6月)
- 第5回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2008年12月)
- 第6回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2009年6月)
- 第7回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2009年12月)
- 第8回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2010年6月)
- 第9回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2010年12月)
- 第10回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2011年7月)
- 第11回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2011年12月)
- 第12回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2012年6月)
- 第13回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2012年12月)
- 第14回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2013年6月)
- 第15回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2013年12月)
- 第16回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2014年6月)
- 第17回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2014年12月)
- 第18回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2015年6月)
- 第19回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2015年11月)
- 第20回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2016年06月)
- 第21回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2016年12月)
- 第22回折り紙の科学・数学・教育研究集会(2017年6月)