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第34回折り紙の科学・数学・教育研究集会(6/24,25)

6月24日 6月25日 JST

オンライン 勉強会・研究会

主催

日本折紙学会

日程
2023年6月24日(土)、6月25日(土)
会場、協力
北陸先端科学技術大学院大学
主催
日本折紙学会

プログラム


023年6月24日(土) 北陸先端科学技術大学院大学 石川キャンパス 情報科学系講義棟 I3・4講義室

13:15-14:45 ワークショップ

13:15-13:45山本陽平:星が浮かび上がる正方形
『文様折り紙テクニック』(山本、三谷)より「作例30.星が浮かび上がる正方形」のワークショップを実施します。予め用意した展開図(折り線を折り易く加工したもの)を使用した、展開図折りを体験していただけます。計算された折り線を折ることで,正方形の紙をそのままスケールダウンしながら,星の形を作り出せる不思議さを、感じてみてください。
13:45-14:15前川淳:変則型紙折り紙
特殊なかたちに裁断され、あらかじめ折り目をつけた紙を用いて、多面体をつくることを体験する。『折る幾何学』(2016、日本評論社、前川淳)の作品から数点を選び、『折る幾何学-型紙選集』としてまととめた作品集を用いる。一見簡単に見えるが、多面体の構造に慣れていないと、パズルとして難問となるものもある。作品のひとつである大十二面体は、本集会6月25日の奈良氏の発表において扱われる立体でもある。
14:15-14:45天童智也、舘知宏:シートサイクルワークショップ
カレイドサイクルとは、四面体をヒンジで繋げてリング状にしたもので、バブルリングのような回転を無限に繰り返すことができる構造が特徴である。シート状のパーツを用いて作るカレイドサイクルをシートサイクルと呼ぶ。これまで、本研究集会(第27回、第32回)で、複数のシートサイクルを組み合わせて作ることができる構造について紹介した。本ワークショップではこれらの構造の一部を作り、動かし、観察することを行う。

15:00-16:00 ポスター発表

遠藤匠、三谷純:対話的形状操作による正多面体をベースとしたユニット折り紙設計システムの提案
三角形メッシュで表現されたユニット形状の頂点座標をマウスによるドラッグ操作で編集することで、正多面体をベースとしたユニット折り紙の立体形状を直接的かつ対話的に設計できるシステムを提案する。提案システムでは、最適化計算によりユーザが編集した後の形状をできるだけ維持しつつも、形状が可展性を持つように頂点位置の補正を行う。
西澤郁弥、三谷純:平面上でのrulingと折り曲線配置による単一折り目を持つ可展面形状制御インタフェース
マウス操作により、折り目を持つ可展面の形状モデリングを行うシステムを提案する。対象形状はPQ-Stripによって離散的に表現され、ユーザはこの展開図に対して操作を行う。まず、rulingを配置したのち、色の割り当てでrulingにおける曲げ角度を指定することで初期可展面を生成する。その後、制御点の入力により折り目の位置を指定する。折り返される側のrulingの配置を, 可展性制約と曲げエネルギーの最小化制約から決定し、最終形状が生成される。
瀬島青空、三谷純:ハンドル曲線を用いた曲線折り設計システムの拡張とその出力形状の評価
本研究では、折り目を持つ可展面を容易に作成できる、ハンドル曲線と呼ばれる形状制御曲線を用いる曲線折り設計システムに対して、新しく逆ハンドル曲線と呼ぶ幾何要素を導入する。この2つのハンドル曲線を用いることで、既存のツールではできなかった、折り目に変曲点が含まれる形状の設計が可能となる。生成した形状を3Dプリンタで出力して型を作成することで、その評価を行った。
大歳佳穂、栗田由梨、杉平理佐子、瀬戸初菜、吉川葉乃:隙間の無いねじり折りについて~四角形に関する考察~
私たちは平坦折りできるねじり折りに必要な条件について調べている。三角形は内側にブロカール点が存在し、それを利用して平坦に「隙間なく」ねじり折りすることができる。三角形のねじり折りの議論を参考にして、ブロカール点が存在する四角形について考察をすすめ、平行四辺形と等脚台形の間の関係にも注目した。また、ねじり折りにおける第1ブロカール点と第2ブロカール点の関係についても考察を行った。 

16:00-17:00 JAISTギャラリー見学

6月25日(日) 北陸先端科学技術大学院大学 金沢駅前オフィス

10:00-17:00 口述発表

10:10-10:30賈伊陽、三谷純:切手折り(1次元的な紙の帯の折り畳み)に対応する順序理論
本研究では、切手折りに対応する順序理論について探究する。順序理論の基本的な用語を用いて、折る対象と折る手順の関係を整理するとともに、前順序、上位集合、単純折りモデルに対応する単調射、結びと交わりなどについて議論する。さらに、切手折りを表現するグラフ構造に基づき、切手折りの層(sheaf)を定義する。この方法論により、切手折りを抽象的な方法で効率的に表現でき、層や位相空間など代数的構造の探求が容易になる。
10:30-10:40ヒガ・ミヤシロ・パメラ、賈伊陽、三谷純:3Dプリントによる折り畳み式双安定性折り紙構造体の制作
3Dプリンタには大型構造物の製造に限界があり、多くの用途で課題となっている。この問題に対処するために、3Dプリンタで平坦に折り畳まれた双安定な折り紙構造物を出力するシステムを提案する。これにより印刷時間の短縮、サポート材料の廃棄の最小化、3Dファブリケーション機能の拡張を目指す。本研究では3次元曲線に沿ってユニットを配置した構造をRhinoceros-Grasshopperの環境下で生成できるシステムを開発した。
10:40-10:50サファリ・アイダ、三谷純::1つの折り目を持つ可展面形状モデル生成システム
Patkau ArchitectsのOne-Fold Projectからインスピレーションを得て、1つの折り目を持つ可展面形状をパラメータ操作によって生成するシステムの開発をRhinoceros-Grasshopperの環境下で行った。対象とする形状は、正方形の素材に対して対角頂点を結ぶ折り目を配置し、その折り目上に頂点を配置して折り返した、円錐に類似した立体形状である。この研究では、折り紙科学の可能性を探求し、持続可能で適応性のある建築構造を創造することを目的とする。
10:50-11:00休憩
11:00-11:15山本陽平、三谷純 他:長方形状でタイル張り可能な折り紙作品のグラフ同型を用いた拡縮
折りたたむ前後で境界が長方形を形作る折り紙は、1枚の紙面上でタイル状に敷き詰められるため、Origami Tessellationと呼ばれる。一般的なテセレーションの模様は、装飾先の形に合わせて、アスペクト比を変更するように拡縮させられる。同様の変換をOrigami tessellationに試みると、展開図の単純な拡縮では,平坦に折れない折り線の集合となる。本発表では、山本がこれまで紹介した手法を用いて、Origami Tessellationを拡縮したような形を作れる、グラフ同型な展開図を作図する方法を報告する。
11:15-11:35森山空良、庄国志、舘知宏:2方向曲げ可能なミウラ折りのパターン設計による空間曲線および曲面グリッドシェル生成手法の提案
前回の研究集会にて、ミウラ折りの隣り合うセクター角を規則的に変化させ、折りたたむことで異なる2方向の曲げ変形可能になることを報告した。また、曲面上の主曲率線は測地曲率と法曲率の2つの曲率を用いて表現できることが知られている。この2つの曲率とミウラ折りによる2つの曲げ変形をそれぞれ対応させて、与えられた曲面の主曲率線に沿うパターンを設計する手法について折れ線パターンを設計する手法を提案する。
11:35-11:55大内康治:ORIPAにおける折り畳みアルゴリズムの改良
ORIPAは展開図の作成と折り畳み後の折り状態の推定が可能なソフトウェアである。近年、orieditaやFlat-Folderといった新しい折り紙ソフトウェアが開発されている。これらはORIPAと同じく展開図から折り畳み後の折り状態を推定する。orieditaはorihimeの改良版で、より高速な推定が可能となっている。Flat-Folderの作者によりORIPAの推定では求められない折り状態があることが指摘された。以上を受け、発表者はORIPAのアルゴリズムの高速化とバグ修正を行ったので報告する。
11:55-13:15昼休み
13:15-13:35奈良知惠:大12面体の表面の連続的平坦折りたたみ
五芒星を底面にもつ適当な高さのピラミッドの側面だけからなるものを12個作り,うまく貼り合わせると大12面体ができる。球に同相な多面体の表面ならば連続的に平坦化できることが知られているが,大12面体のように凹凸が随所にある場合,既知の方法を適用すると平坦化状態において可算無限個の折り目が必要となる。そこで,どの状態においても有限個の折り目によって実現されるような連続的平坦折りたたみの方法について述べる。
13:35-13:55米田大樹、斉藤一哉 :脱皮から考える円筒膜剥ぎ取りの変形と力学
爬虫類のヘビと昆虫のイモムシは、いずれも円柱体型で、かつ脱皮をして成長する共通点がある。ただし皮の剥がれ方は異なり、ヘビは皮が反転して剥がれるが、イモムシは座屈で折りたたまれて剥がれる。この脱皮過程が異なる要因はなんだろうか。人工物においても、膜製造やラッピングで適切な剥ぎ取りは重要な課題である。円筒表面の剥ぎ取りを最適化する要素を探るため、幾何学と力学の視点から、実験と数値解析の結果を報告する。
13:55-14:15イ・ムンギュン、宮嶌祐生、舘知宏:四辺形境界剛体折紙を用いた多安定機構の設計と分析
本研究では多安定性を持った折紙構造を設計するための新しい設計方法を提案する。四辺形の穴(フレーム)があるリンケージ構造から欲しい動きを規定し、四辺形境界の剛体折紙モジュールで穴を埋めて設計する。フレームとモジュールの間に意図的にずれを導入し最適化することでフレームの動きを沿ったスナップ挙動を制御する。剛性が違う三つの多安定折紙構造を設計し、実験とシミュレーションを通じて多安定性を検証する。
14:15-14:35豊岡龍弥、舘知宏:双安定切り紙の異方展開設計
双安定キリガミ構造は、シート材料にカッティングを施す事で得られる展開構造物であり、展開後形状のまま安定となる性質を持っている。従来の双安定切り紙構造は正則なパターンであれば等方展開を示すことが知られていた。本研究では、特定の種類の双安定切り紙についてパターンを変化させることで異方的な展開をプログラムできることを示す。さらに、パターンの類似性から、異方展開を示すねじり折りに関しても検討を行う。
14:35-14:45休憩
14:45-15:05安達瑛翔、舘知宏:接着面を持ち引張変形可能な切紙構造
キリガミには引っ張り力を加えることで自律的に立体化する性質を持つものがある。このような自律的な折り変形の制御手法を提案する。具体的には、キュービックコアの各面を平行四辺形に一般化した構造について、一方向に伸びるものを発見し、引張によって複数の折り変形モードが発生しうることを示した。山折り谷折りの剛性を設定することによって、指定した折り変形モードが選ばれるように制御する手法を提案する。
15:05-15:25十塚響、安達瑛翔、舘知宏:キュービックコアの長方形型への一般化と複層化
キュービックコアは正方形パネルが正方格子状に連結することで得られるキリガミ構造であり、両面に市松模様状の面(接着面)を持つように折ることで、変形可能で厚みのある単曲面を作ることが出来る。本研究では、パネルを長方形へと一般化した長方形型キュービックコアの形状・変形の数理を明らかにすると共に、2つの長方形型キュービックコアを接着面で接着する複層化による単曲面の形状・変形の制御に関しても検討を行う。
15:25-15:45土井護:凸多角形の二面体へ拡張されたペーパーバッグ問題への縁付き折り紙パッケージによる変分的アプローチ
ペーパーバッグ問題は、任意の平面上の領域の2枚のコピーを境界に沿って貼り合わせてできた二面体に対して、その容積の最大値を求める問題として自然に拡張できる。本発表では前回発表した結果を拡張し、凸多角形がある条件を満たせば、その二面体に回転対称な折り紙を適用してできる縁付きパッケージの容積を最大化する変分問題が一意的に解けることを示し、容積の最大値とそれを与える折り線のグラフを数値積分により表す。
15:45-16:00宮本好信:ブルーノ・ムナーリの旅行用彫刻
イタリアのブルーノ・ムナーリ(1907-1998)は、グラフィック、プロダクトから絵本まで多彩なデザイン活動をした美術家である。彼の「旅行用彫刻」(1958-)はポップアップ技法の作品で、紙や金属板を素材とした。これら作品の彼の美術作家活動歴および近代デザイン史での位置付けを考察する。また、その技法と特徴を同時代および前後の時代の作家と比較する。
16:00-16:20松浦英子:成人の芸術活動としてのOATC交換会
Origami Artist Trading Cardの活動が10年目を迎えた。数枚作りプライベートな交換もあれば一度に25人と交換することもある。1枚ずつハンドメイドではあるが、量産して配るものがアートなのかと問われることもある。しかし、実物を交換し合う行為には参加者に何らかの学びがあると考えられる。OATCはアートなのか、成人教育の文脈から見てどのような活動であるのかを考察する。
16:20-17:00情報交換など