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第37回折り紙の科学・数学・教育研究集会(11/30,12/1)
2024年11月30日 – 2024年12月1日 JST
オンライン 勉強会・研究会
会場
九州大学大橋キャンパス デザインコモン2階
プログラム
2024年11月30日(土)
オンライン配信:13:25-15:20
13:25-13:30 | オープニング |
13:30-14:00 | 講演:生物模倣展開構造と折紙の幾何学 斉藤一哉 昆虫の翅の折りたたみを中心に、自然界の優れた折りたたみに学ぶことで革新的な展開構造を開発する研究について紹介する。自然の展開図をそのまま用いるのではなく、折紙の幾何学を用いて一般化することで、様々な目的とスケールで応用することが可能になる。 |
14:05-14:25 | 昆虫形態形成に見られる「逆折り紙」に学ぶ曲面造形手法 森川健太郎、清水雄貴、斉藤稔、井上康博 昆虫の角などの外骨格形状は、折り畳まれた皺構造として形成され、それがエアバッグのように展開されて、立体的な曲面構造として完成する。これは、折り紙とは逆の立体化技術と言える。というのは、折り紙は平坦な紙を折ることで立体化するのに対し、昆虫は、折り目を展開することで立体化するからである。本研究では、目標の曲面へと展開する皺構造を設計する問題を解くことで、昆虫の逆折り紙に学ぶ曲面造形手法を提案する。 |
14:25-14:45 | 四価頂点折紙ストリップの運動学 安達瑛翔、今田凜輝、寺嶋真伍 、岩瀬英治、舘知宏 複数の4価頂点折紙を1次元的に連結したストリップは、端部の折線の駆動で全体が変形する1自由度機構である。本構造は比較的単純だが、セクター角の調整により多様な折変形の伝わり方・折形状が実現でき、工学応用の可能性もある。本発表では、頂点が単一/数種類の場合を対象に、隣接頂点間の折りの漸化式を用いて折変形の設計依存性を解析する。また、二つの入力ポリラインに沿う折状態を持つストリップの設計手法も報告する。 |
14:45-15:05 | ダブル・キュービック・コアの拡張 谷口智子、上原隆平 1枚の紙に等間隔に正方形の穴を開けて折って作る構造をキュービック・コアという。これを2枚ずらして重ねて全ての面の高さが揃えられる構造をダブル・キュービック・コアと名付けた。これらはどちらも、すべて合同な正方形によるタイリングに基づいた構造になっているが、本発表では、それ以外のタイリングに拡張した構造を示す。 |
15:05-15:20 | プリズマトイドテッセレーションの変形挙動解析 大嶋千智、今田凜輝、舘知宏 ハニカム構造のように角柱を平面状にテッセレーションしたセル材料は、その図形の形状によって、面内変形のポアソン比や面外曲げ変形の曲率などの機械的性質が変わることが知られている。本研究では、単位構造として底面が上下で等しい角柱ではなく、上下が異なるプリズマトイドを用いることで、面外変形が卓越しやすいテセレーション構造を作成し、その機械的性質をモード解析を通して論じる。 |
15:20-15:30 | 休憩 |
15:30-16:00 | ワークショップ:アインシュタインタイルの折り紙 川村みゆき 1種類で非周期的な平面敷き詰めが可能なアインシュタインタイルを折り紙で製作します。HatとTurtleはそれぞれ正方形1枚から、Spectreは正方形2枚から1つのタイルを作ります。(使用する紙:15cm3枚、7.5cm1枚) |
16:00-16:30 | ワークショップ:表裏同等折り紙を折ろう! 川崎敏和 表と裏どちらから見ても折り線の構造が同じ折り紙、表裏同等折り紙をいくつか折ります。 |
16:30-17:30 | 研究室見学 |
2024年12月1日(日)
オンライン配信:10:00-17:00
9:30-10:00 | 展示の説明 |
10:00-10:20 | Dissections of a Net of a Regular Octahedron into Nets of Regular Octahedra 鎌田斗南、能美雄太、塩田拓海、上原隆平 次数kのRep-octahedronとは、それ自身が正八面体の展開図の展開図でありかつ、k個の正八面体の展開図に分割可能な多角形である。Rep-octahedronは、Abel et al.が立方体に対して提案したRep-cubeの概念を正八面体に拡張したものである。正八面体と立方体は双対の関係を持ち、共に11種類の辺展開図を持つ。この発表では、Rep-cubeに対して知られている性質がRep-octahedronにどの程度拡張可能かを検討し、相違点と共通点について紹介する。 |
10:20-10:40 | ダブル正十二面体の連続的平坦折り 奈良知惠 紙製の正十二面体を2個用意し、1つの面同士を貼り合わせて平面上に置く。上面を平行移動で底面に近づけるとき、2面の間にある面に「ひし形の翼折り」で(移動)折り目をいれると、反転らせん五角形プリズムができる。そこで予め、折り目に相当する部分を切り取っておくと(折り目の入らない)剛体折り変形となる。一方、1個の正二十面体の場合は.正八面体を経て,さらに2本の辺を半分に折る翼折りで連続的に平坦化できる。 |
10:40-11:00 | 単頂点折りの行列表現 賈伊陽 切手折りおよび地図折りの二値行列表現をさらに発展させ、今回は単頂点折りに対応する行列表現を検討する。この表現行列では、全てのレイヤー間の上下関係が記録される。単頂点折りでは、上下のレイヤーの重なり具合を記録するだけでなく、全ての情報を保持するために、レイヤーの置換も考慮する必要がある。そのため、置換も行列作用によって表現し、単頂点折りに対応する表現行列を構築する。 |
11:00-11:05 | 休憩 |
11:05-11:25 | 片面性を有する折り紙に関する一考察 川崎敏和 折り鶴のように色紙の表側しか見えない性質を片面性という。表裏同等性の対極に位置する概念である。本発表では数学的定式化を試みて、そこから得られる結果を述べる。 |
11:25-11:45 | 任意形状の平坦折り紙設計手法の検討 山口卓人、森本有紀 私たちは平坦折り紙における設計手法として、目的形状をシルエットとし、任意の形状を折り紙で忠実に構成する方法を提案する。本手法では、紙面上の折り線か輪郭線で囲まれた閉領域(面)が折り操作により回転移動することに着目し、折り操作によって各面が目的形状を再構成することで設計を行う。この際、目的形状から紙面領域がはみ出ない、またはみ出ても単順な折り操作で対応可能にすることで目的形状を忠実に再構成する。 |
11:45-11:50 | 短時間発表:楕円球状の吉村パターンにおけるモデル計算手法の検討 山口卓人、森本有紀 吉村パターンとは展開図にダイアモンドパターンが現れるもので、円筒形や楕円球状に折ることができる。これらのパターンはランプシェードをはじめ様々なプロダクトデザインに用いられている。私たちは楕円球状における吉村パターンの折りに着目し、断面の形状から3D形状および展開図を求める方法を提案する。また、提案手法を用いたモデルのみならず、実際に作成した折り紙や展開図の例を示す。 |
11:50-11:55 | 短時間発表:半径の異なる三円で表現可能な,6剛体カレイドサイクルのバリエーション 天童智也、舘知宏 カレイドサイクルとはねじれの位置にある回転ジョイントをリング状につなげたリンク機構で、バブルリングのような裏返り続ける運動が特徴である。これまでに本研究集会(第27、32、34,35回)で複数のカレイドサイクルを繋げた機構や、それらの円と鏡による表現法などを紹介してきた。今回の発表では、6剛体からなるカレイドサイクルについて、半径が異なる3円で表現可能なバリエーションを紹介する。 |
11:55-13:00 | 昼休み |
13:00-13:15 | 折り紙公理6の数値計算による解法 大内康治 近年、折り紙設計ソフトウェアの開発が盛んになっている。しかし、可能な折り方のうち、一部だけを実装したものがほとんどとなっている。可能な折り方を再現するには、折り紙公理をすべて実装することが必要になるが、その中でも公理6が一番複雑で再現が難しい。発表者は数値計算を用いて公理6をORIPAに実装したので報告する。 |
13:15-13:30 | すべての辺の長さが整数である弱単純な直交多角形をBox Pleatingで折る方法の紹介 内田壮一郎 折り紙を用いて任意の多角形を設計する問題はDomaineらにより一般解が示された一方、水密性をもつ多角形の設計方法は示されていない。本発表では、格子状の折り線を用いて折り紙モデルを設計する「Box Pleating」という手法を用いて、題で示した多角形を設計する方法を紹介する。 |
13:30-13:50 | オンライン発表:大小大の定理とその拡張を用いた平坦折り畳み不可能性の検出について 中島千尋 大小大の定理は折り目の山谷割り当てに対して一定の制約を与えるが、これを利用して与えられた折図の平坦折り畳み不可能性を検出できる場合があることを報告する。 またこれを拡張し、折り目で接続されていない多角形同士の重なり合いに対しても制約が課されることを示し、これについても平坦折り畳み不可能性の検出ができることを示す。 |
13:50-14:10 | オンライン発表:紙の辺にV字型の凹みを生成する効率的な折りたたみ 土井護 本発表では、1枚の紙を凸でない多角形に折りたたむための道具立てとして、1つまたは2つの単純プリーツを用いて、紙の辺を与えられた2辺の比と挟角をもつV字型に凹ませる効率的な折りたたみ方法を与える。折り回数を増やせばV字の2辺の和を元の辺の長さにいくらでも近づけられる。また、折り回数が少ない場合の最適解を与える。特に、辺に垂直な切り込みを入れる際の最適解は、折り回数に応じた正多角形を用いて作図できる。 |
14:10-14:20 | 休憩 |
14:20-14:40 | 前近代折り紙史研究の整理と展望 中村智晴 朝倉書店『折り紙の事典』の制作にあたり、発表者は日本の前近代の折り紙の歴史に関する項目を執筆する機会を得た。本発表では、記事執筆を通して得られた知見の共有を目的とする。前半では岡村昌夫氏、高木智氏の業績を中心として、主要な先行研究の整理を行う。後半では、さらなる研究が俟たれる事項について提示しつつ、今後の前近代折り紙史研究のあり得る方向性について考察する。 |
14:40-15:00 | 小学校手工科教育における折紙細工の役割と位置付け 松浦英子 造形教育としての折り紙の教育は、明治から手工科や戦後の図画工作科において実施されてきた。第二次世界大戦後から折り紙の扱いが消極的になっていったのは、折り紙が模倣にすぎないという評価が原因とされているが、証拠となる決定的な文献は未だ見つかっていない。本研究は、手工科自体の評価の変遷を外観しながら、その中の「折紙細工」が、どのような役割と位置付けであったかを整理し、改めて原因を見直すものである。 |
15:00-15:20 | 空間図形の操作「切断」を表出させる「折り紙」教材の実践 烏山凌輔 「折り紙」教材が空間図形の操作という点で価値があると考えている。そこで、「折り紙」における空間図形の操作「切断」を、重なりで見えない部分を見出す活動と捉えた。知的障害特別支援学級在籍生徒を対象に、一刀切り課題の前段階に当たる授業実践を行う中で、重なった紙や線を意識する活動を行った。本研究では生徒の折った紙や授業の様子から考察を行った。 |
15:20-15:35 | 立版古における折紙要素 宮本好信 ポップアップ絵本やペーパークラフトの起源には、西洋の図学書の付録や望遠伸縮式名所風景画、また日本の茶室図面の起こし絵や立版古(たてばんこ、浮世絵版画を用いた立体式風景や芝居舞台、別名:切組灯籠絵、組上絵)があります。立版古では、切り抜いた板状の人型や点景が主な構成要素ですが、折り目や曲げを取り入れた要素も使用されています。本発表ではデータベースの立版古の画像を活用し、折紙要素の分析を試みます。 |
15:35-15:45 | 休憩 |
15:45-15:55 | 曲線折りテセレーションのルーリング変化を伴う変形の再現 河井友宏、舘知宏 曲線折りでできる曲面のRulingは曲げ具合によって連続的に変化する。この挙動を解析することは、単一折り線の場合には比較的容易だが、複数折り線があると難しくなる。本研究では全体形状が筒型になり、その筒型自体の曲がる向きが変化できる、正弦曲線を並べた曲線折りを取り上げ、その挙動について曲率に基づく微分幾何学からの理解に加え、数値的手法により挙動の再現を試みた結果を報告する。 |
15:55-16:10 | 風車状折り線パターンを用いた剛体折紙機構 南宏樹、舘知宏 剛体折紙は折り線が1点に集中しない場合、拘束条件がより多い空間リンクとみなすことができる。6本の折り線が(風車状に)存在する場合はBricard Linkageの一種とみなすことができ、1自由度の過拘束メカニズムとなる。本発表では、折り目の往復運動による波打つような挙動や、角度や立体的な配置の違いから生じる運動学的な変化を紹介する。また、本機構に三角形剛体パネルを同心円状に連結させた場合の運動も検討する。 |
16:10-16:20 | 平行切り込み切り紙の立体化形状とその光学的性質 家木千里、舘知宏 平行な切れ目が並んだ切り紙は対角方向に引張力を加えると立体化をおこすが、予め切り紙全体をS字状にたわませておくことで切れ目で分割された各面が平行に立ち上がる構造となることが確認できた。本研究ではこの立体化パターンの観察と、これを鏡面素材に対して行った際に立体化して平行に並んだ鏡面に光が2回反射して透明な素材として振る舞うという現象、及び数値的手法による局所的な挙動の再現を試みた結果を報告する。 |
16:20-16:30 | 上下面が円弧運動するサラスリンクの拡張 田中一成、大嶋千智、舘知宏 サラスリンク機構とは、1853年にサラスが発明したヒンジの回転運動を直線運動に変換するリンク機構である。2つの相似な平面(上下面)が平行を保ったまま平面の法線方向に直線運動を行うことができる。本発表では、上下面が円弧運動するサラスリンク機構の設計手法を提案を行う。また、この手法を用いて設計したサラスリンクを組み合わせ、平坦折り可能な空間ポリライン等を紹介する。 |
16:30-16:50 | 円形膜の折りたたみ法に関する先行研究のレビューとアルゴリズムの再実装およびシミュレーション 三谷純 膜状の素材を折りたたむための方法にはミウラ折りをはじめとする様々な折り方が考案されてきたが、とくに円形膜の折りたたみについては中心に配置したハブに巻き取る方法が複数提案されている。本発表では、これらについての先行研究をまとめるとともに、そのいくつかを詳しく説明する。また、いくつかのアルゴリズムを実装して展開図の生成を行い、折りたたみ過程のシミュレーションを行った結果を報告する。 |
16:50-17:00 | クロージング |
主催
主催:日本折紙学会
協力:九州大学 斉藤研究室
本研究会は、科研費 学術変革B「折紙がつなぐ」の支援を受けています。
過去の会など
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