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第38回折り紙の科学・数学・教育研究集会(6/28,29)@北海道大学

2025年6月28日 / 13:00 2025年6月29日 / 16:30 JST

オンライン 勉強会・研究会

参加申し込み

6月26日 15:00 JST 締め切り。

一般参加(現地):2000円
オンライン参加:1000円
オンライングループ参加(ひとつの端末を複数人で視聴):2000円
懇親会費:5000円(予価:現地で申し受けます。)


会場

北海道大学 工学部 フロンティア応用科学研究棟 2F セミナー室(地下鉄南北線・北十二条駅徒歩15分)

懇親会会場:北海道大学オープンイノベーションハブ エンレイソウ


日程・概要

  • 6月28日(土)(一部を除きオンライン配信あり)
    • 13:30-17:30 : 講演、ワークショップ、口述発表、研究室見学
    • 18:00-21:00 : 懇親会+ナイトセッション
  • 6月29日(日)(オンライン配信あり)
    • 10:00-16:30 : 口述発表

主催

主催:日本折紙学会、北海道大学 大規模知識処理研究室 (堀山貴史)

協力:北海道大学 繁富(栗林)香織


プログラム

当日までに変更になることがあります。

微修正(共同研究者名追加)2025/06/09

6/29 15:35 発表、概要修正(2025/06/10)

2025年6月28日(土)

オンライン配信:13:30-16:50

13:30-13:40オープニング
13:40-14:00講演:地図折りの折畳み状態の列挙 堀山貴史、中畑裕、前川淳
地図折り (map folding) 問題は、折り線が縦横に等間隔に並ぶm×n の直交格子において、各折り線を山折りまたは谷折りにすることで得られる平坦折りの折畳み状態の個数を数える問題である。地図折りは、1次元に矩形が並んだ切手折り (stamp folding) 問題の2次元への拡張ととらえることができる。本講演では、地図折り問題において、折畳み状態をすべて列挙する手法について述べる。
14:00-14:201×n環状切手折りの平坦折り可能性 賈伊陽,三谷純
本研究は、従来の1×n切手折りの概念を発展させ、1×nの帯状構造の両端を連結した環状折り紙モデルを対象とする。このモデルにおける平坦折り可能性を検討するとともに、従来の1×n切手折りとの数学的な共通点および相違点について考察する。特に、環状化に伴う幾何学的制約が、系が有する代数的性質としての「デカルト閉」性をどのように変化させるかについて議論する。
14:20-14:35アルキメデスらせんRES塔状構造体設計法 宮本好信
アルキメデスらせん平面を立体化した斜路をもつ切紙塔状構造体の設計法を紹介する。この形状は従来の多段/多層RESでは不可能であった。この手法では連続斜路を複数個を巴組みにできる。立体化する際に基盤となる円周部の平面形が縮小する性質をもち、斜路が定勾配のとき構造体の鉛直断面は放物線となる。
14:35-14:50新規折り構造の考案とその特性について 皆勝亮汰
コンパクトに折り畳む、または展開する方法として、ミウラ折りやハニカム構造等が知られている。折り構造は強度や柔軟性等の特性を向上できるため、宇宙や医療分野等での活躍が期待されているが、様々な特性について改善の余地がある。本研究では、従来の折り構造と比較して、高強度かつ高柔軟性で、比表面積が大きく、折り畳みやすい折り構造、剛体折り、および製造方法について特許を取得した。今回、試作や応用例を紹介する。
14:50-15:10Dudeney’s Dissection is Optimal Erik D. Demaine、上原隆平、鎌田斗南*
1907年、H. E. Dudeneyは「正三角形をできるだけ少ないピースに切り分け、それらを組み合わせて正方形を作れ」というパズルを提示した。4週間後、デューデニーは美しい4ピースの解法を示し、これは今日に至るまで最も有名な裁合せパズルのひとつである。本発表では、このパズルの最終な解決、すなわち、正三角形と正方形は、3ピース以下の裁合せを持たないことの証明について、紹介する。
15:10-15:20休憩
15:20-15:35Dry Fiber Technologyで作成したシートの折紙への適用 田中英樹、田中陽都、中村隆行、中井葉子、小暮直貴
セイコーエプソンでは古紙や衣類を、乾式解繊と結合材によりシート状に加工し再生する技術を開発している。一般的な製紙工程のように大量の水を使用しないことから、この技術をDFT: Dry Fiber Technologyと呼んでいる。DFTシートは原料や結合材および加工条件により、質感の調整が可能であり紙状にも布状にも成る。折紙の素材としてみた時のDFTシートの特徴と、作成した折紙を紹介する。
15:35-15:50牛乳パックを使った立体容器の産学共同開発 舩倉大和、上原隆平、鎌田斗南、谷口智子
石塚硝子株式会社とJAIST上原研究室は、牛乳パック製造技術を基盤にした3次元的な球体容器の共同開発に取り組んでいる。本発表では、設計プロセスや、現在の試作、テストランの様子を紹介する。
15:50-16:20ワークショップ:牛乳パック素材を使った球体容器の製作 舩倉大和
牛乳パック素材を用いて打ち抜いたフラットな平面図を、罫線に沿って組み立てていただく。先行し発表した内容を、参加者の方々に実感いただく。
16:20-16:50ワークショップ:非対称な6剛体カレイドサイクル 天童智也,舘知宏
K. Wohlhartによって1987年および1993年に示された非対称な1自由度のリンク機構は、どちらも6剛体のカレイドサイクルのバリエーションとみなすことが出来る。本ワークショップでは、これら2種類のリンク機構を紹介し、それらの設計自由度(4もしくは7自由度)のなかで参加者がパラメーターを設定したモデルを、画用紙を鳩目とマスキングテープでつなぐことで制作し、動かし、観察をおこなう。
16:50-17:30研究室見学

ナイトセッション(2025年6月28日(土)、オンライン配信なし)

18:00-19:30懇親会(歓談)
19:30-19:50講演:折り紙が未来をひらく:宇宙から医療までの挑戦
 繁富(栗林)香織
折り紙は多分野で革新的な応用が進んでいます。本講演では、自然界の折りたたみ構造を応用した宇宙展開型ソーラーパネルの開発、血管内治療用医療機器「折り紙ステントグラフト」、さらに、半導体加工技術で細胞を折りたたみ三次元培養する「細胞折り紙」と、その再生医療・不妊治療への応用について解説します。また、日英の大学発ベンチャーによる社会実装の取組について紹介します。
19:50-20:10びゅんびゅんバネ(Spring into action)の仕組み 三谷純、瀬島青空
Jeff Beynonによって考案された Spring into action は、その動きの面白さから、国内でも「びゅんびゅんバネ」という呼び名で親しまれている。このびゅんびゅんバネは、Kresling パターンの特異な状態の1つと見ることもできる。本発表では、びゅんびゅんバネが伸縮する動作をする原理と、ある一定以上伸びると湾曲する理由などの考察を紹介する。
20:20-22:00懇親会(歓談)

2025年6月29日(日)

オンライン配信:10:00-16:30

10:00-10:05オープニング
10:05-10:20カッティングプロッタとロボットを用いた折り鶴の自動化 杉澤翔馬、栗原和大、前田雄介
柔軟物の操作は自動化が難しい作業として知られている。本研究では、柔軟物の一例として折り紙に着目し、一時間程度で折り鶴を自動的に完成させるロボットシステムを開発した。カッティングプロッタを用いて事前に折り筋をつけたり、専用のツールや治具を作成したりすることで自動化を簡単にしている。また、土台には吸着パッドがあり、手順に合わせてオンオフを切り替えることでアシストしている。
10:20-10:35折り紙作成支援システムにおける折り目部分の表示の改良 田畑裕貴、前田雄介
今回発表するのは、折り紙の作成を支援するシステムである。本システムでは、厚みのある板とバネによって折り紙を表現をすることで、既存のシステムより複雑な折り紙を扱えるようにした。しかし、改良前のシステムでの折り紙表現では折り目をバネで表現することで隙間が生じ、現実の折り紙との乖離が生じていた。この問題に対して、現実との乖離を抑制するため隙間を補間する機能を開発し、より現実に近い表示を可能にした。
10:35-10:50カッティングプロッタを用いた折り筋の自動付加に基づくロボット折り紙システム:作品「水鳥」におけるかぶせ折りの実現 栗原和大、前田雄介
折り紙をロボットが折ることには新たな価値創出が期待される。本研究では作品「水鳥」を対象としてかぶせ折りの自動化に挑戦した。カッティングプロッタで折り筋を付けた折り紙を吸着パッドで固定し、2つのマニピュレータで折り動作を行った。かぶせ折りには立体的に裏返す手法ではなく、折り畳んで引き上げる手法を採用し、専用の土台や新たな爪を設計することで、かぶせ折りの自動化を実現した。
10:50-10:55休憩
10:55-11:15チェビシェフ多項式に関連した多項式列と折り紙スリット 土井 護 オンライン
前回の折紙学会では紙の辺に垂直なスリットを入れる効率的な折りたたみ方を紹介し、与えられた折り回数での最適解が対応する正多角形を用いて作図できるという予想を述べた。本発表では、作図に現れる多項式列とチェビシェフ多項式の関連を考察することにより、この予想が肯定的に証明できたことを報告する。さらに、この多項式列を用いて任意の自然数nに対して2cos(2π/n)の最小多項式を簡単に表す新しい公式を与える。
11:15-11:35折り畳み推定の前処理における計算幾何アルゴリズムの活用 大内康治
折り畳み推定は平面幾何的な計算と関係が深い。従来のORIPAでは、面の重心が他の面の内部にあるかどうかで重なり検出を行っていたが、これは非凸な面に対して誤検出があり得るため、三角形分割を用いて精度向上を図った。また、重なった面の辺がなす極大な領域を抽出する効率的なアルゴリズムをSweep line algorithmと呼ばれる手法で構築した。
11:35-11:50曲線折りテセレーションの巨視的曲げの解析 河井友宏、舘知宏
曲線折りでできる曲面のルーリングは曲げ具合によって連続的に変化する。この挙動を解析することは、単一折り線の場合には比較的容易だが、複数折り線があると難しくなる。本研究では正弦曲線を並べた曲線折りを取り上げ、それが示す二方向の巨視的な円筒曲げに対応する二種類の解析解を導いた。さらにそれぞれが剛体ルーリング折り可能であることを示し、それらのビジュアライズをした。発表では以上の結果を報告する。
11:50-13:00昼休み
13:00-13:15風車頂点折紙の組み合わせによる可変立体構造 南宏樹、舘知宏
剛体折紙の頂点に風車状の新たなパターンを導入すると、「特定の折り状態を循環する」という、従来の折紙には見られない挙動が生じる。このパターンを「風車頂点折紙」と定義し、その組み合わせによって新たな運動特性を備えた機構を構成することができる。本発表では、モジュールを複数組み合わせることで構成される円筒状の1自由度機構を考案し、その運動特性を示すとともに、モジュール形状と全体挙動の関連性を解析する。
13:15-13:35Edge Overlap-Freeness in Regular Prisms with a Continuous Parameter 塩田拓海、鎌田斗南、Jason S. Ku、上原隆平
多面体の展開図は、特定の切り開き方をすることで面どうしが重なることがある。一方、どのように切り開いても常に重なりを生じない多面体も存在する。鎌田らは 8OSME にて、どのように辺展開しても重なりを生じない多面体(Edge overlap-free)という概念を提案した。本発表では、一辺の長さ 1 の正 n 角形を底面とする、高さが h の正 n 角柱に対し、Edge overlap-free となるための n および h の条件を示す。
13:35-13:55「裏返された花紋折り」の平坦折り可能性 村井紘子
花紋折りとは正n角形の紙から、その中央に配置された小さな正n角形の辺と、その各辺から外側に平行に伸びる帯に沿って中央に向けて捻るように折ることにより得られる折り紙のことをいい、平坦折り可能な折り紙として知られている。本講演では花紋折りの中央の正n角形の山谷を反転させた展開図が、ある範囲において数学的には平坦折り可能であることを紹介する。これは実際に紙で折るのは相当困難な例となっている。
13:55-14:00休憩
14:00-14:15折り方向の設計による剛体折紙の変形モードの制御 来栖裕也、舘知宏
剛体折り紙では折り線を増やすと多様な立体形状を取りうるが、一方で変形モードの制御が困難になる。本研究では、片側にのみ折れる折れ線を導入することで変形可能なモードを制御することを考える。初めに4価の単頂点について考え、続いてこの頂点の連結や重ね合わせにより展開図全体のモードの制御を試みる。また、この理論を非可展な折り紙構造に応用することで二つの形状に滑らかに変形する機構を設計する。
14:15-14:30プリズマトイドテセレーションの自由度分析 大嶋千智、今田凜輝、舘知宏
テセレーション構造におけるユニットセルの繰り返し個数と変形自由度の関係把握は、形状や挙動設計において重要となる。一般に、ハニカム構造のような多くのテセレーション構造では、自由度がセル数に比例する。本発表では、ハニカム構造を拡張したプリズマトイドテセレーションを対象とし、剛性行列や固有モード解析を用いて、自由度とセル数の関係を解明する。特に、自由度がセル数に依存せず一定となる過拘束機構を報告する。
14:30-14:45一様ブロック積みに基づく周期的複層形態の平坦折りについて 小林祐貴,有宗知寛
複数の多面体によって空間充填可能な立体においては、最小単位となるユニットにおいて多面体同士の隣接関係に複数の種類が存在する。本研究では、隣接関係をグラフとして表現することで数え上げを行った。数え上げた隣接関係について、グラフに対応するユニットを考え、構成立体数が4以下の立体については重複のないように異なるユニットを確認した。これにより、新たに4種類の周期的複層形態の展開図を明らかにした。
14:45-15:05「折り紙」と「origami」のもつ同一性と相違性の検討 松浦英子
世界各国に存在する、紙を折ることを主体とした造形活動を、リリアン・オッペンハイマーが「origami」という名称で共有しようと働きかけた結果、origamiは科学・数学・教育・芸術など多くの分野で発展した。一方、日本では「伝統的な手遊び」という認識が一般的である。本研究は、世界で共有されている「origami」と日本の「折り紙」の使われ方の違いを整理して、明確にすることを目的とする。
15:05-15:15休憩
15:15-15:25円環型の紙帯による負曲率曲面の形成 山﨑玲美 割鞘奏太 舘知宏
円環型の紙をつぎ合わせて帯をつくり、その帯の内外をはぎ合わせると、鞍型曲面が生まれることを報告する。紙帯の寸法パラメータやつなぎ方、ガウス曲率との関係を定式化し、既知の一定負曲率との関係について述べる。戸村浩による先行研究であるアルキメデス螺旋を用いた負曲率曲面作品との比較も行う。また、紙帯のエッジにジッパーを取り付けた形状を3Dプリントすることで、組み立てを簡略化した製造方法を提案する。
15:25-15:35展開構造を用いた、変形する科学館建築の提案 五味奈乃穂
自作の展開構造物を用いて設計した昨年度の卒業制作を紹介する。常設の建築とは本来、姿形を変えることはないが、建て替えることなく形を変えられたら新しい建築様式ができるという考えのもと取り組んだ。用いた展開構造物は正三角形のみで構成され、展開方向などによって、筒型や鞍型などに変形可能なかたちである。それを構造的かつ意匠的に活かした新たな科学館を提案する。
15:35-15:50正三角形の正則タイリングを用いた任意のポリアモンドの展開図の構成方法 内田壮一郎、舘知宏
本研究では、正三角形正則タイリング上で折り線を計算し、任意のポリアモンドの展開図を作成する手法を提案する。提案手法はEdge River Methodを原理としており、従来の正方形正則タイリングを用いてポリオミノの展開図を作成する手法を拡張したものである。発表では、提案手法と従来手法の比較を通じ、正三角形タイリング拡張時に生じた課題とその解決方法を紹介する。
15:50-16:20短時間発表(各々5分程度)
正方形の紙を一回折ってできる4つの直角三角形の斜辺の長さの間に成り立つ恒等式について 三好潤一
正方形の折り紙を適当なところで1回折ると、紙のふちによって4つの相似な直角三角形ができる。斜辺の長さを左からa,b,c,dとするとa+d=b+cが成り立つことが分かったので報告する。
キリオリガミによるシザーズ機構のモード分岐 松本紘華、舘知宏
平面リンク機構は、線材とピボットを面材と回転ジョイントに置き換えることで、切り込みのある剛体折紙(キリオリガミ)として実現可能である。本研究では、シザーズが並列に配置された機構をキリオリガミで実現し、その運動学を扱う。特に折り線の山折り・谷折りを反転させた際に生じるモード分岐に着目し、まずその具体的なバリエーションを示した上で、設計上の制約条件と機構の特徴を明らかにする。
双安定黄金菱面体 割鞘奏太
黄金菱面体(黄金菱形による平行六面体)には扁長と扁平の2種類があり、それらが非周期に空間充填することが知られている。そこで、2種類の黄金菱面体に形状が切り替わる双安定構造を作る問題を考えたい。本発表では、六面体から2面を取り除いたチューブの内部に、折りによる平面リンクを仕込むことで双安定性を実現する手法を提案する。
多様な表情の顔を設計するアプリケーション「Origami Face Maker」の開発 山下公平
複雑系作品の創作プロセスのうち、基本形の設計方法は研究されてきたが、基本形を仕上げる手法についての議論は少ない。そこで、仕上げの折り方を部品として再利用する「部品設計法」を提案し、多様な表情の顔を設計できるアプリケーション「Origami Face Maker」に実装した。本発表では、提案手法とアプリケーションへの実装方法を紹介し、創作支援の新たなアプローチを示す。
びゅんびゅんバネ(Spring into action)の仕組み(前日ナイトセッションの短時間版)三谷純、瀬島青空
アインシュタイン・タイリング・フォント 谷口 智子、上原 隆平
2023年、長年未解決であった1種類のタイルのみからなる非周期的タイリングがついに発見された。これはアインシュタインタイルと呼ばれている。このタイルで平面を隙間なく埋め尽くす場合は強い制約があるが、隙間を許容すると、制約が緩み、配置に自由度が生まれる。この自由度を活用すると,同タイルで様々な模様を生み出すことができる。本研究では,その一例として同タイルを用いたフォントのデザインを示す。


過去の会など

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