やじるし【矢印】《名》 折り紙の工程図においてきわめて重要な記号のひとつ。ひとつの図につける矢印は三個が限度とされ、それ以上の矢印が描かれている場合、「弁慶の立ち往生折り図」と呼ばれる。
やっこ【奴】《名》 伝承折り紙のひとつ。伝承ではあるが、岡村昌夫氏によると明治期以降のものである。それ以前は二つ折りにしたかたちで「虚無僧」とされていた。
やぶる【破る】《動》 最も前衛的な折り紙の技法。この技法による効果は作者が望まないかたちで現れることが多い。
やまおり【山折り】《名》 二つの面の角度が折り手から見て180度より大きくなっている折り目。視点を変えると谷折りとなり、山折りと谷折りの区別は厳密には難しい。記号は一点鎖線と二点鎖線のいずれもが使われる。一点鎖線をモールス符号で解釈すると、なんとびっくり、「−・ −・−・」で「タニ」になる。「タニ タニ タニ」と静かに主張している線を山折りに折る。これを運命の皮肉と言わずに何と言えばよいであろう。
やまおりおりた【山折おり太】《人名》 折紙探偵団新聞に連載(?)されていた漫画の主人公。山折という名字はそれなりにあるようで、街の文房具店の三文判でも見ることができる。
やまぐちまこと【山口真】《人名》 (1)元模型雑誌編集長 (2)元ロウソクの絵付け職人 (3)元デンマークのレストランの従業員 (4)元アシスタントカメラマン。 しかして、その実体は? 全人類の歴史を通じて片手で数えられるほどしかいないという「プロの折り紙作家」だ。上記のごとき流転の人生の主がこの道20年ということは、折り紙の魅力がいかに○○であったかを示している。(○○には好きな言葉をいれてください)
やまだかつひさ【山田勝久】《人名》 旺盛な創作力と少ない口数で知られる創作家。対象を忠実に再現するのではなく、デフォルメされたかたちのユーモアあふれる作品が多い。氏が創始した「なかよし折り紙」も、その作風があってこそだ。
やまなしあきこ【山梨明子】《人名》 数多くのかわいらしい作品を持つ創作家。折り紙らしい折り紙を作風とする。「折り紙らしい」「折り紙的」といった言葉を論理的に解説するのは難しいが、そこはそれだ。(「そこはそれ」ってなんなんだ?)
やまなしまさひろ【山梨雅弘】《人名》「ヅルの基本形」(切り込みをいれた鶴の基本形)の考案者。山梨明子氏の夫ではない。
ゆうぎおりがみ【遊技折り紙】《名》 もっぱら純粋な遊芸を目的とする折り紙。「儀礼折り紙」に対する語。「儀礼折り紙」というのは、「あーら、お上手ねえ」「折り紙の天才だな」「いい味出しているねえ」などとひとの折り紙作品を褒めること、・・ではない。熨斗などの儀礼に用いる折り紙(折形)のことである。
ようじきょういく【幼児教育】《名》 幼児を対象とする教育。折り紙はこの分野で重要な位置を占めるが、かつて「模倣性を助長する」と軽んじられたこともある。幼児期に折り紙で嫌な思いをしたことがあるひとの主張であると推測される。逆に、折り紙イコール幼児教育としか考えないのも困りものだ。そういうひとは教育してあげよう。
よしざわあきら【吉澤章】《人名》 折り紙を芸術化した人物。折り紙に対する情熱にはひとなみはずれたところがあり、鬼気迫ると言ってもよい。
よしのいっせい【吉野一生】《人名》 現折り紙界を代表する創作家のひとり。コンピュータによる折り図(工程図)作成の草分けでもある。代表作「ティラノサウルス全身骨格」は、正方形21枚を用いた極めて精巧な作品で、完成まで数日を有する。根気のないひとは完成作を見るだけで満足しよう。